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「活動のデザイン展」

contents

活動のデザイン展

人々が気づいていない課題を示し、読み解き、問題を解決しようとするデザインに着目した展覧会。大量消費社会が生み出す廃棄物を伝統的な手仕事で甦らせる、人知れず独創的なセーターを編み続けた無名の市民をたたえる、地雷撤去といった人道的な目的をもつデザインなど、世界各国の先進的なアイデアや実践を紹介した。
会期 2014年10月24日(金) - 2015年2月1日(日)

ディレクターズ・メッセージ

目の前にひろがるこの風景は、私たちがすでに参加している世界

私たちは、「あたり前」と感じられてきた社会のあたり前が、どこか揺らいでいるということに気づいています。そしてそれは世界の多くの人たちも同じように感じています。その揺らぎはどこから来るのか。どのような可能性があるのか。「活動のデザイン展」は、変容する世界のあり方やそこにおける生き方のヒントを、デザイナーやアーティストの活動のなかに探し求めました。これは、現在の「デザインと社会の関係」の広がりを見る展覧会です。

私たちはテクノロジーが大きく発達した社会に暮らしています。しかし、社会システムが蓄積できるメモリーの量が膨大になったといっても、ひとが身体的に蓄えられる記憶量そのものが増大したわけでも、ひとの手で書き留められる情報の速度が増したわけでもありません。今日のような高度情報化社会と以前との大きな違いは、情報の「書き手」が増えたことにあります。そしてそのことにより、私たちの「あたり前」はより細分化されています。

一方、そこで知らされる情報から私たちは、これまでの経済発展も技術革新も、平和のためにまだ充分には役立っていないことや、誰もが等しく便利な道具や情報を手にしているわけではないことを知ります。日々更新され続ける膨大な知識や知恵は、社会の不均衡や倫理、価値観を問い直すために活用されることが望まれているのです。そしてその活用の事例―「活動のデザイン」の動きを、ここで紹介する24組のデザイナーやアーティストに見いだすことができます。

彼らは、課題の渦に自らダイビングしていくように、傍観者ではなく主体的な行動家として、ものづくり(fabrication/ファブリケーション)がもたらす影響や変容する世界のあり方やその意味を問いかけます。デザインが「消費される物」から「行為や場、つながり」へと広がりを見せる現代社会の動きを見すえ、デザインと社会との関係性を広げています。彼らの持つ、はっとさせられるようなすばらしい(fabulous/ファビュラス)思考を、本展では「The Fab Mind」(ファブ・マインド)と名づけました。それらの思考は、未来に役立てられていく可能性を含み、私たち自身に自分なりの世界と、社会との関わり方を考えさせてくれます。

本展では、彼らの活動を通して、多様な価値観が存在する現在を、文字通り広がり続けるあり様そのものからとらえようと試みました。時間軸や、大陸を超える地理的な広がりのうえで紹介するデザイナーやアーティストの活動の一つひとつが、現代を生きるための羅針盤になってくれることを信じています。

川上典李子、横山いくこ

開催概要

主催
21_21 DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団
後援
文化庁、経済産業省、東京都、港区教育委員会、スウェーデン大使館、スペイン大使館
助成
Creative Industries Fund NL
特別協賛
三井不動産株式会社
協賛
株式会社クレッセント、株式会社Kotte & Co.、バルミューダ株式会社
特別協力
オランダ王国大使館
協力
キヤノンマーケティングジャパン株式会社、株式会社 竹尾、多摩美術大学
展覧会ディレクター
川上典李子、横山いくこ
グラフィックデザイン
田中義久
会場デザイン
五十嵐瑠衣
照明デザイン
海藤春樹
制作協力
坂根悠太
参加作家
マイク・エーブルソン、アルマ望遠鏡プロジェクト/国立天文台+PARTY+Qosmo+エピファニーワークス、アルヴァロ・カタラン・デ・オコン、ダグラス・クープランド、DNAシャロアー/ヴァンスファッペン、クリスティン・メンデルツマ、フィックスパーツ、アオモ、アトリエ ホコ、クビーナ、サラン・イェン・パニヤ、長坂 常、菱川勢一、フロント、シアザマ プロジェクト、エディションス イン クラフト、マスード・ハッサーニ、ホンマタカシ、ヒューマンズ シンス 1982、大西麻貴+百田有希/o + h、織咲 誠、フローリー・サルノット、スタジオ スワイン、スーパーフラックス、タクラム・デザイン・エンジニアリング、牛込陽介、ジョセフィン・ヴァリエ