メッセージ

今日の世界は多種多様で複雑です。それが世界の豊かさと言えます。アーティストたちはクリエイションの分野間の境界を取り除き、様々な手法を交わらせ、視覚芸術とデザインを融合させながら、世界の多元性を表現しています。「イメージメーカー展」には、分類を因習と考え、各分野を横断的に活動している、幅広い世代の国内外の作家が集います。映画、デザイン、広告、モード、舞台、音楽出身の彼らは、イメージとファンタジーの世界をつくりだします。そして「デザインとは何か」という問いに対し、鑑賞者に真の体験をもたらしながら、ひとつの答えを示します。それは、世界を見る視点、現実に繰り返す実験、多様性に富む生の表現、そして創造と日常のあいだの架け橋と言えます。

本展で紹介する作品はどれも驚きと魅惑に満ち、鑑賞者に幼い頃の感動を蘇らせることでしょう。「イメージメーカー」という展覧会タイトルは、広告のアーティスト、イラストレーター、デザイナー、夢とハイブリットな作品のつくり手として活躍するジャン=ポール・グードにインスパイアされました。彼は写真、ドローイング、インスタレーション、ビデオ、動く彫刻、"形態学的改良"シリーズ作品の巧妙なイメージづくり、それら作品を通して、70年代始めから絶え間なく、ファッション、パフォーマンスアート、デザイン、映画や現実世界の境界線を曖昧にしてきました。そしてそれは今、彼のイメージのアイコンとなっています。作曲家 三宅 純とのコラボレーションにより、グードは音と動きを結びつけた大作を発表します。

舞台演出家で光、動き、そしてイメージのつくり手でもあるロバート・ウィルソンは、ビデオポートレート作品で、私たちを取り巻く世界を普段とは違った視点で見せてくれます。もう一人のイメージメーカーであるデヴィッド・リンチは、クリエイションの領域をよりいっそう拡げ、映画から絵画へ、音楽からデザインへと越境しています。本展で紹介するリトグラフは、手の行為と石、墨、紙などの素材のダイレクトな関係に焦点を当てるひとつの方法なのです。また、行動と道具は、伝統的な造形や手法を革新しながら視覚芸術とデザインの両方にまたがる彫刻としての靴をつくる舘鼻則孝の仕事の中核でもあります。モードや広告のイメージのコードを駆使するフォトグラファーハルは 、楽しくカラフルなイメージをつくり、身体を操作し、カップルたちを閉じ込め、彼らを比類のない作品に変身させます。

「イメージメーカー展」で、多様性に富むクリエイションが日常に潜む美と驚きを浮かび上がらせる、活気ある世界の物語をご覧ください。

エレーヌ・ケルマシュター

ディレクター

エレーヌ・ケルマシュター Hélène Kelmachter

キュレーター。フランス在住。パリで美術史を学んだ後、キュレーター兼美術評論家としてキャリアをスタートする。1994年から2007年にかけてカルティエ現代美術財団にキュレーターとして勤務。その間、日本のアーティストの展示を数多く手掛ける。2007年から2012年にかけて東京に在住し、在日フランス大使館に文化担当大使館員として勤務。2012年9月以降はパリを拠点に、様々な展覧会のキュレーションや文筆業に取り組むとともに、多彩なプロジェクトを通じて日本とフランスの文化交流を推進している。

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