トーク「文字となって羽ばたく―東アジアの伝統から」

表象文化論を専門とする小林康夫は、衣服を身につけることが、言語活動同様に人間にとって根源的であると捉えますが、80年代はじめに三宅一生の衣服に出会って以来、その創造の基に最も原初的かつ感覚的な自由を見ています。本トークでは、出展作品のうち、三宅の衣服をアーヴィング・ペンが撮影し、田中一光がデザイン・タイポグラフィを担当したポスターからインスピレーションを得て、古代中国の文字とその思想を研究する中島隆博、土屋昌明とともに、〈形〉という問題を〈文字〉との関連で語り合います。思いがけない出会いへの入口が開かれることでしょう。

「今回のすばらしい展覧会を見させていただきながら、わたしの心に浮かび上がったのが〈文字〉という言葉でした。〈文字〉が鳥のように空をとんでいくイメージです。稲妻のようなこのインスピレーションをおっかけてみたいと思いました。そのために、中国の古代の〈文字〉とその思想に通じている二人の友人を招いて、その方々とともに、服と写真の不思議な出会いにもうひとつの出会いの次元を付け加えることができないか、と思ったのです。成功しないかもしれません。でも、そのような冒険を行うことを誘っている展覧会ではないでしょうか。現代のもっともすぐれたデザインを前にして、はたしてもっとも古い古代の時間が還ってくるでしょうか?そんな試みです。」(小林康夫)


画像左:白川静『字通』より「文」と「天」
画像右:釋高閑《千字文》(部分)


日時:
2012年2月18日(土)14:00-15:30
場所:
21_21 DESIGN SIGHT 1F
出演:
小林康夫(東京大学大学院総合文化研究科 教授)
中島隆博(東京大学大学院総合文化研究科 准教授)
土屋昌明(専修大学経済学部 教授)
協力:
東京大学グローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター」(UTCP)
参加費:
無料(ただし、当日の入場券が必要です)
予約受付:
1月26日(木)15:00より開始予定、定員に達し次第終了
定員:
120名(着席/先着)

このプログラムは終了しました。



Yasuo Kobayashi

小林康夫 Yasuo Kobayashi

東京大学大学院総合文化研究科 教授
1950年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科比較文学比較文化専攻博士課程満期退学。パリ第10大学記号学科博士号取得。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授(表象文化論専攻)、グローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター」拠点リーダー。著書に、『不可能なものへの権利』(89年)、『無の透視法』(89年)、『起源と根源』(91年)、『光のオペラ』(94年)、『身体と空間』(95年)、『出来事としての文学』(95年)、『建築のポエティクス』(97年)、『大学は緑の眼を持つ』(97年)、『思考の天球』(98年)、『青の美術史』(99年)、『表象の光学』(03年)、『知のオデュッセイア』(09年)、『歴史のディコンストラクション』(10年)。ほか、編著、翻訳多数。


Takahiro Nakajima

中島隆博 Takahiro Nakajima

東京大学大学院総合文化研究科准教授
東京大学大学院人文科学研究科中国哲学専攻博士課程中途退学。『残響の中国哲学-言語と政治』東京大学出版会、2007年、『ヒューマニティーズ 哲学』岩波書店、2009年、『荘子 鶏となって時を告げよ』岩波書店、2009年、『共生のプラクシス――国家と宗教』東京大学出版会、2011年


Masaaki Tsuchiya

土屋昌明 Masaaki Tsuchiya

専修大学経済学部 教授
中国の宗教(道教)と文学・美術の関わりを研究している。とくに漢字とその書写に対する考え方に関心がある。それを考えるために、最近は中国の各地にある道教の聖地たる山岳の洞窟を訪ね歩いている。共著『書の総合事典』(柏書房、2010年11月)、共編『道教美術の可能性』(勉誠出版、2010年6月)。論文「唐代道教の文字観」『専修大学人文科学研究所月報』(第249号、2011年2月)。