展覧会について

概要 コメント 見どころ

「うつわ」展ポスター

本展は、陶作家ルーシー・リィーとジェニファー・リー、木の作家エルンスト・ガンペールによる3人展です。シンプルな中に大胆な手法や表現を取り入れ、現代陶磁器の流れに大きな影響を与えたルーシー・リィー。静かで抽象的な造形の中に、独特な自然観を投影するジェニファー・リー。ろくろを使い、倒木や流木からその命を取り出すように制作するエルンスト・ガンペール。ものづくりの原点ともいえる3人の仕事とその作品を通して、私たちの生活と文化をうるおす豊かな「U-Tsu-Wa/うつわ」の世界を紹介します。

会期:
2009年2月13日(金)-5月10日(日)
時間:
11:00-20:00(入場は19:30まで)
休日:
火曜日(5月5日は開館)
*3月28日は「六本木アートナイト」参加のため、22:00まで開館(入場は21:30まで)
入場料:
一般1,000円、大学生800円、中高生500円、小学生以下無料
(15名以上は各料金から200円割引、いずれも消費税込み)
主催:
21_21 DESIGN SIGHT、財団法人 三宅一生デザイン文化財団
共催:
日本経済新聞社
特別協賛:
三井不動産株式会社
後援:
ドイツ連邦共和国大使館、ブリティッシュ・カウンシル、渋谷区、港区
協力:
ドイツ文化センター、マックスレイ株式会社

企画ディレクター:三宅一生
会場構成:安藤忠雄
ヴィジュアルディレクション:杉浦康平

感動のかたち

ルーシー・リー

美しいと感動した経験について話してほしいと言われることがあります。 そんな時にまず思い出されるのは、ルーシー・リィーさんの名前としごとです。

今から20数年前に、ロンドンの書店で偶然手にとった陶磁器の本。それを見て心を動かされた私は、さっそくルーシーさんの制作スタジオ兼自宅を訪ねることになりました。彼女の人柄と作品の数々に触れて、その時私は「つくる、とはこういうものだ」と直観して心も身体もリフレッシュし、勇気づけられたことを覚えています。そして、その夢も醒めきらないうちに、日本で「ルゥーシー・リィー展」を企画・実現し(1989年東京と大阪で開催)、大きな反響をよぶことができたのです。

さて、21_21 DESIGN SIGHTの企画による「U-Tsu-Wa/うつわ」展。ここでは20世紀の伝統の中に未来形の創造の宇宙を発芽させたルーシー・リィーさんを中心に、その水脈をうけ継いで明日の陶磁器づくりに新しい方向性をあたえているジェニファー・リーさん、木から生命を見つけ出すエルンスト・ガンペールさん、という二人の作家を配して、多様なうつわたちの豊潤な造形世界が展開されます。土・石・木、自然素材と向き合い、美しい形を削り出していくしごとは、自身の内面を深く厳しく掘り下げる作業に通じています。そこから、私たちの生活と文化をうるおす清新な創造の伏流水が湧き出してくることでしょう。

三宅一生

会場構成について

ルーシー・リー

ルーシー・リィー、ジェニファー・リー、エルンスト・ガンペール。 三人のアーティストのつくる〈うつわ〉には、生活文化としてのデザインの可能性が、実に豊かに示されている。

とりわけ、ルーシー・リーの作品は、一つ一つが前世紀の百年を陶芸に賭けて生き抜いた彼女の人生の結晶のようだ。モダニズム造形美の極みともいうべき、優雅に研ぎ澄まされたフォルム。美しさと同時に温かみを感じさせる、微妙でデリケートな陶器の素材感。あの白に輝く器たちの透明感は一体何なのかと、彼女の作品を目にするたび、不思議な感動を味わう。

展覧会では、彼女らのみずみずしい感性がより直接的に伝わるような空間演出を考えた。 展示室内に水盤をつくり、その水の上に作品を浮かべる。 流れる水という空白を介して、その静と動の狭間で、美しいうつわと対峙するという展示構成だ。訪れる人が、作品を通じて、それをつくった作家の心を感じられるような、展覧会になればと思う。

安藤忠雄

ヴィジュアルディレクションについて

──「うつわ」は「空(うつ)輪」とも、「宇宙輪」とも書けますね──。
最初の打ちあわせで一生さんがつぶやいたこの言葉が、今回のヴィジュアルデザインのヒントになった。

器(うつわ)は空(くう)。からっぽなもの。その中に飲みものや食べものを満たすと、「空」なる器が「実」に変わる。それを飲み・食べると、「空」である人間の体内に「実」なるエネルギーが充ちる。器はそのまろやかな形で、「空」と「実」の対極を、苦もなく巧みに溶けあわせる。 三人三様。土を練り、形をつくり、倒木を削り、ときにひびわれを誘いだす。それぞれに味わい深い差異を見せる三人のうつわ宇宙を、「空」なる紙面のひろがりに招きいれた。ページを繰る指先のリズムとともに、器自身が静かに舞い踊る。

豊かな伝統的技法と現代感覚を結びつけた器たちの多彩な表情を俯瞰し・見上げて、宇宙遊泳に似た動きを誕生させる。岩崎寬さんの感性豊かなカメラアイと、森山明子さんの情感あふれるテキストが、艶やかなうつわ宇宙誕生の支えとなった。

杉浦康平


vol. 1 三宅一生と3作家の出会い

1984年ロンドン。映画『マイフェアレディ』で有名なコヴェント・ガーデンの小さな本屋で、三宅一生は一冊の本を手にとっていました。本屋に入るや否や、目に飛び込んで来たその本の表紙には、凛とした表情の純白の花瓶。「この陶磁器の作者に会いたい」と、すぐに訪れたのが、ロンドン南部アルビオン・ミューズにあるルーシー・リィーの自宅兼工房でした。

ルーシー・リー

三宅は、リィーの作品はもちろんのこと、その人柄に心から感動し、「ものづくりとはこういうことだ」と直感したといいます。濃厚なチョコレートケーキとアプリコットケーキ、そしてウィーン育ちのリィーが淹れた薫り高いコーヒーとともに、ひとしきり会話を楽しんだあと、帰り際にサプライズが--なんと、棚に所狭しと並んでいたリィーの作品のうち、三宅が密かに「素晴しいな」と思っていた白いうつわを、新聞紙にくるんでプレゼントされたのです。
ルーシー・リー

ジェニファー・リーと三宅一生の出会いは、1989年。スノードン卿が撮影した写真集『ISSEY MIYAKE PERMANENTE』のモデル、長身で笑顔の素敵な女性がリーでした。それから10年後、三宅はパリの街角で、小さな記事に目を留めました。そこには、コンランショップに並べられたエルンスト・ガンペールの木のうつわたち。 本、写真、展覧会……三者三様の出会いから25年。一堂に会した127のうつわを前に、その軌跡に思いを巡らせてみては。


三宅一生と3作家の出会いや、彼らの作風の解説を中心とした、21_21 DESIGN SIGHTアソシエイトディレクター、川上典李子によるギャラリーツアーが行われます。


vol. 2 安藤忠雄の会場構成

両掌ですくいあげた、小さな宇宙--三宅一生が3作家のうつわから感じとった「宇宙」の空間表現は、安藤忠雄の手に託されました。それは、かつて自らが出会った感動のかたちを、次の時代の担い手たちに、ガラス越しではなく、直接届けたいという想いからです。

ルーシー・リー

安藤忠雄が描いたのは、「水面に映える夜空の星」。水盤や粉砕ガラスの上に、3作家が持って生まれた星座--ルーシー・リィー(魚座)、ジェニファー・リー(獅子座)、エルンスト・ガンペール(牡羊座)--をなぞるように、うつわを浮かべました。2万8千個のガラス瓶を敷き詰めた水盤が、壁面に設えた滝のかすかな音とともに、会場内に静かな緊張感を生み出しています。 子どもの頃に見た川の美しさを、いつか違うかたちで表現したいと考えていた安藤。会場の水の流れに対峙するように、サンクンコートには青々とした麦が生い茂っています。


安藤忠雄のギャラリーツアーが行われました。
ギャラリーツアーは、4月にも予定されています。


vol. 3 ルーシー・リィーとボタンの話

見事な釉薬の配合による独特の色使いと、仕上げに手仕事を加えた温かいフォルム。ひとつとして同じもののないルーシー・リィーのうつわの魅力は、どこから生まれたのでしょうか。

1938年、イギリスに亡命したリィーの暮らしは、自ら「キャベツの日々」と振り返るほど、厳しいものでした。彼女の生活を支えたのは、陶製のボタンづくり。金属の乏しかった当時、リィーはオートクチュールのデザイナーたちの様々な要望に応えながら、色やかたちの研究を行い、その後のうつわづくりの技術を身につけたと考えられています。本展を企画した三宅一生は、「ボタンは、ルーシーさんの創作の原点、出発点だったのだろう」と語っています。(展覧会関連書籍より)

ルーシー・リー

1989年、リィーとの交流を深めていた三宅は、ISSEY MIYAKE秋冬コレクションで、そのボタンを使った服を発表します。リィー自身も、「ボタンが40年ぶりに息を吹き返した」と、心から喜んだそうです。そして、それから20年、21_21 DESIGN SIGHTに、当時の服が新しいスタイリングで登場します。「U-Tsu-Wa/うつわ」展の会場にちりばめられた606のボタンとともに、今を生きる服とボタンの姿を、ぜひお楽しみください。


陶のボタンをつくる、こども向けワークショップが開催されました。
4月4日(日)には、大人向けのボタンづくりワークショップも行われます。

[特別展示]3月25日(水)より会期終了まで、ISSEY MIYAKE '89年秋冬コレクションで発表した、ルーシー・リィーのボタンを使った服を、新しいスタイリングでご紹介します。


vol. 4 うつわをとらえる眼

空輪、宇宙輪、うつわ--本展を企画した三宅一生は、3作家のうつわの空(くう)に、神秘的な宇宙のひろがりを感じとりました。確かに、英語のspaceは「空(くう)」も、「宇宙」も意味する言葉です。 三宅のそんな考え方は、本展のヴィジュアルディレクションを手がけた、杉浦康平をも刺激します。杉浦は、「それぞれに味わい深い差異を見せる三人のうつわ宇宙を、『空』なる紙面のひろがりに招きいれた」と言います。

ルーシー・リー

本展メインビジュアルの、鮮やかなピンクが印象的な写真。実は、ルーシー・リィーのうつわを真上から撮影したものです。撮影は、写真家の岩崎寬。撮影に入るまでの間、ただ、うつわたちと対峙し続けたそうです。 時に原初の地球の姿をかいま見せ、宇宙的な美をもって私たちを魅了するうつわの数々。日本を代表するクリエーターたちの眼が捉えた、ものづくりと美の原点を、ぜひ会場でご体験下さい。


毎週水曜日18時より、展覧会ギャラリーツアーを行っています。
本展の企画担当スタッフによる見どころ満載のツアーで、展覧会を何倍にもお楽しみいただけます。


vol. 5 うつわ展の楽しみ方

5回にわたってご紹介してきた「うつわ展の見どころ」。最終回は、21_21 DESIGN SIGHTの外に飛び出し、展覧会を何倍にもに楽しめる、一日の過ごし方をご提案します。

午前11時。開館と同時に21_21 DESIGN SIGHTに到着し、「U-Tsu-Wa/うつわ」展を鑑賞。土や木でつくる多様なうつわたちの豊潤な世界を満喫したら、12時過ぎに、お隣のカノビアーノ・カフェへ。新鮮で優しい味わいのコースランチの最後に、ルーシー・リィー直伝のレシピから再現した、幻のチョコレートケーキを選ぶのを忘れずに。

ルーシー・リー

ガーデン内の新緑を楽しみながら、太鼓橋を渡って14時、サントリー美術館へ。「一瞬のきらめき まぼろしの薩摩切子」展へは、「うつわ×きりこ割引」として、「U-Tsu-Wa/うつわ」展の半券をご提示いただくと、100円引きでご入場いただけます。過ぎし日の薩摩切子の盛衰に思いを馳せたら、ミッドタウンタワーの最上階へ。
15時半、ザ・リッツ・カールトン東京のレストラン「フォーティーファイブ」で一休み。やはり半券の提示で、デザートブッフェが15%割引で楽しめます。
ガレリア3Fのインテリアショップでショッピングを楽しんだ後、ルーシー・リィーのうつわがもう一度見たくなったら、半券を持って21_21 DESIGN SIGHTへ。20時まで開館している当館には、当日に限り、何度でもご入場いただけます。

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