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2017年、21_21 DESIGN SIGHT開館10周年を機に誕生したオリジナルグッズ。その後も新しい商品が仲間入りし、現在は13種類を取り揃えています。これらは館長の佐藤 卓がデザイン・監修を手がけています。ここでは、21_21 DESIGN SIGHTショップ担当が、そのオリジナルグッズを紹介します。

21_21 DESIGN SIGHTオリジナルグッズ(Photo: 木奥恵三)

「21_21 DESIGN SIGHT(以下21_21)の思い出を、グッズとして持ち帰って欲しい」、そんな当館スタッフ一同の思いからグッズ制作は始まりました。来館された方にとって21_21の思い出、すなわち象徴的なイメージといえば、21_21のブルーの「プロダクトロゴ」や、安藤忠雄による建築でしょうか。また、館内サインやコンクリートの壁面を写真に収める方もよくお見かけします。

21_21 DESIGN SIGHT外観(Photo: 吉村昌也)

「21_21グラフィックプレート」はそれらを切り取り再編集した、言わば21_21らしさが凝縮された一品です。シャープペンシルなどでなぞってテンプレートのように遊ぶこともできますし、ブックマークとして使用することも可能です。

21_21グラフィックプレート(Photo: 木奥恵三)

今回はこのグラフィックプレートを地図にして、そのアイコンを紐解きながら他のグッズもご紹介したいと思います。

1. まずは左上の台形と三角形、および左下の図形をご覧ください。 向かい合う2つの台形は、ギャラリー1&2とギャラリー3を上空から見たシルエットを表しています。隣の三角形は、鉄板屋根を表しています。下に見える図形は、この三角屋根とサッシを組み合わせた建物のロゴです。この建物のロゴは、チラシの裏面などにも使われています。

建築をモチーフにしたグッズは、自分で組み立てることができる「21_21ミニチュア建築模型」のほか、建築写真などを収めた「21_21ポストカード」、館内のコンクリートの壁面写真をプリントした「21_21トートバッグ」、「21_21ハンカチ」があります。

21_21ミニチュア建築模型(Photo: 木奥恵三)
21_21ハンカチ(Photo: 木奥恵三)

2. 次に、中央の3つの長方形と21_21の数字をご覧ください。
このデザインの基となっているのは、一枚の鉄板からつくられた当館のシンボルである「プロダクトロゴ」です。「21_21ロゴステッカー」と「21_21グラフィックプレート」は、このロゴと同じサイズです。
また、このロゴをモチーフにした「21_21マスキングテープ」もあります。

21_21ロゴステッカー(Photo: 木奥恵三)
21_21マスキングテープ(Photo: 木奥恵三)

3. 最後に、右のサインをご覧ください。
これらは全て、館内に設置されているサインをモチーフにしています。ご来館の際は、どこにあるのか探してみてください。

またシンボルカラーと同じブルーをモチーフにしたグッズには、「21_21サインペン」や「21_21ノートブック(MOLESKINE)」があります。
その他にも、21_21のロゴタイプをあしらった「21_21ペン(LAMY noto)」や、入館証シールをモチーフにした「21_21てぬぐい」や「21_21おちょこ」など、続々と発売をしています。

21_21サインペン(Photo: 木奥恵三)
21_21てぬぐい、21_21おちょこ

一部の商品は、オンラインショップ HUMORよりご購入も可能です。
ぜひこの機会に、お手元にデザインの視点を取り入れてみてはいかがでしょうか。

はじめに、この度の新型コロナウイルス感染症に罹患された方々とご家族の皆様に謹んでお見舞い申し上げますとともに、医療従事者の方々の多大なるご尽力に、深く感謝申し上げます。

21_21 DESIGN SIGHTは、2007年に開館して以来、安藤忠雄さんの設計による光に満ちた空間の中で、デザインの可能性を探りながら様々な展覧会を開催してまいりました。チョコレートから始まり、水、人、骨、米、アート、建築、土木、野生、器、雑貨、民藝、虫など、テーマは多岐に渡ります。それは、人の営み全てにデザインは欠かせないものであること。そして、あらゆる事象にデザインという概念を投げ込むことによって、デザインとは何かを問うという、言葉にはできない好奇心の力によるところが大きいように思います。

21_21 DESIGN SIGHTは、美術館やデザイン施設の運営に関わったことがない、ある意味素人の集まりでスタートし、手探りで試行錯誤を続けてまいりました。当館が他にはない個性を持っているとしたら、それはここに起因するのかもしれません。そして開館する準備段階から現在も同様に、定期的にディレクターズミーティングというものを開催しています。展覧会のテーマなども、基本的にこの場で検討されます。このミーティングは、21_21 DESIGN SIGHTの創立者でディレクターでもある三宅一生さん、ディレクターの深澤直人さんと私、アソシエイトディレクターの川上典李子さん、そして当館のスタッフと共に少人数で行っています。この会議の時間がとても面白く刺激的なので、この機会に普段表に出さない舞台裏を、少しお話してみたいと思います。

ミーティング中の発言はいつも、各々の仕事のジャンルには一切こだわらず、まるで脳のシナプスが飛び交うがごとく、ありとあらゆる方向に廻ります。環境問題、経済、注目のアーティスト、医療、人の心理、最先端技術、遊び、教育、福祉など、思いつくアイデアを自由に出し合うので、話がどこへ行くのか常に分かりません。頭の中がグルングルンに回る感じです。そして話が外れて、それぞれの楽しい近況報告の時間に入り、気がつくと1時間が経過していることなど、よくあることです。しかし、この時間が大変貴重なのです。この自由で立場を超えた垣根のないやり取りが、面白いアイデアに繋がったりします。あるアイデアをきっかけに別のアイデアに飛躍することもよくあります。自分の意見を論破しようとする人など誰もいません。お互いを尊重し合いながら進む意見交換は、リズミカルで気持ちがいいとさえ思えます。そして候補がいくつか出ると、まるで発酵させるかのように、先のミーティングまで寝かせたりします。しばらくして、また新たなテーマと比べたりしながら、自然と浮かび上がってくるテーマを選択していきます。あくまで実に感覚的なのです。このような場は、私もいろいろな経験を積んできましたが、ここにしかありません。まるで誰の足跡もないところを一歩一歩進んでいるような感覚です。どうなるかは誰にも分からないけれども、この先へ行ってみようという、まるで森の中を探検しているような気分です。だからワクワクドキドキする。ただし、何の保証もないのに、「絶対いい!」という理由なき確信のようなものを、全員が共有できています。アイデアの閃光を待ちながら進むこの感じは、直接会ってやり取りするからこそ生まれるものであり、皮肉にも現在の日々がこの価値に改めて気づかせてくれました。

21_21 DESIGN SIGHTという場の特徴は、とかく理屈という「意識」が優先する現代社会にあって、珍しく「感覚」というものを最優先しているところにあるのかもしれません。そもそも好奇心は、感覚からくる心の動きですから。当館では、人に内在するこの感覚というものを、今後も大切にしていきたいと考えています。

まだまだ先の見えない状態ではありますが、我々はこの厳しい経験から学ぶべきことを推考し、社会のためにできることは何かを、引き続き模索し続けてまいります。これからも、21_21 DESIGN SIGHTをどうぞよろしくお願い申し上げます。

21_21 DESIGN SIGHT館長 佐藤 卓

Firstly, I would like to extend my sincere condolences to those affected by the coronavirus (COVID-19) and their families, and my deepest gratitude to the healthcare workers for your tremendous efforts.

Since 21_21 DESIGN SIGHT opened in 2007, we have been holding exhibitions that explore the possibilities of design, in a light-filled space designed by Tadao Ando. We began with chocolate and moved through an array of topics from water to human, bones, rice, art, architecture, civil engineering, wild, vessels, sundries, folk crafts and insects. The reason for this diversity is that design is vital to all aspects of the way we live. It is precisely the application of design concepts to all phenomena that has brought us to reflect on the nature of design. This initiative has continued largely because of the power of curiosity for that which cannot be expressed in words.

21_21 DESIGN SIGHT was established by a group of amateurs with no prior experience running museums or design institutions, so it was a matter of feeling our way around, of trial and error. Perhaps that is why this venue has such a unique character. Moreover, ever since the time of preparing to open, we have held regular directors' meetings. This is where the themes of upcoming exhibitions are considered. These are quite small meetings involving 21_21 DESIGN SIGHT founder Issey Miyake, directors Naoto Fukasawa and myself, as well as associate director Noriko Kawakami and staff. These meetings are exciting and stimulating events. I would like to take this rare opportunity to go behind the scenes.

In all of our meetings, speakers roam in all directions, regardless of the kind of work they are doing. It sends the synapses of the mind into overdrive. In this meeting of minds, no topic is off the table, be it environmental issues, the economy, a hot artist, health, human psychology, the latest technology, play, education or welfare. Nobody knows where the conversation will lead. It makes the head spin. At the end, we go off topic and enjoy updating each other on what has been happening. Often before we know it, an hour has disappeared.
However, this time is precious. This freewheeling exchange, in which we leave our professional positions to one side, leads to exciting new ideas. One idea often triggers another. Nobody tries to strongarm others over to their point of view. It is an exchange of opinions held with the greatest of mutual respect - a rhythmical and pleasant gathering. And if there are a number of options for topics, it is left to ferment until the next meeting. After a time, they are compared with new topics and a choice is made from the naturally forthcoming ideas. It is always an intuitive process.
This kind of forum is something I have only seen here, even though I am an experienced person. It is like walking into the unknown, without any footprints to follow. It feels like an adventure through the forest where nobody knows what will happen next and we are just following our instincts. That is why it is so exciting. However, every one of us shares the faith that an idea is a good one, even if there are no guarantees. Illuminated by our ideas, it is in these very face-to-face meetings that generate our ideas. The situation in which we find ourselves today has ironically driven home to me their true value.

The unique character of 21_21 DESIGN SIGHT perhaps lies in the fact that rather than raising logic and rationality on a pedestal as in modern world, this is a rare organization where intuition reigns. That is because curiosity is essentially an emotion stimulated by the senses. Here at 21_21 DESIGN SIGHT, I hope that we continue in future to honor the value of intuition that is in all of us.

The future is far from clear, but we will continue to explore what we can offer society as we take stock of what we can learn from this difficult experience. Thank you for your ongoing support of 21_21 DESIGN SIGHT.

Taku Satoh
Overall Director, 21_21 DESIGN SIGHT

21_21 DESIGN SIGHTウェブサイトでは、建築内部やこれまでに開催した展覧会の一部を、パノラマツアーで紹介しています。360度見回すことができる写真や動画で、館内の様子をお楽しみください。

>> 21_21 DESIGN SIGHT館内

Photo: 吉村昌也/Nacasa&Partners, Inc.

>> 企画展「コメ展」
会期:2014年2月28日 - 6月15日
展覧会ディレクター:佐藤 卓、竹村真一

Photo: 淺川 敏

>> 企画展「単位展 ― あれくらい それくらい どれくらい?」
会期:2015年2月20日 - 5月31日
企画:中村至男、鈴野浩一(トラフ建築設計事務所)、稲本喜則(AXIS)、岡本 健、菅 俊一、寺山紀彦(studio note)、前村達也(21_21 DESIGN SIGHT)

Photo: 木奥恵三

>> 企画展「雑貨展」
会期:2016年2月26日 - 6月5日
展覧会ディレクター:深澤直人

Photo: 大谷宗平/Nacasa&Partners, Inc.

ギャラリー3では2020年2月、「NO PROBLEM store @ 21_21」を開催しました。
NO PROBLEMは、日用品などの製造過程で必ず生まれてしまう、十分使えるのに正規品と同じ価格で販売することができないB品を、「NO PROBLEM(問題なし!)」として受け入れるプロジェクトです。これまで、展示会やタブロイドの出版などを通じ、つくり手、売り手、使い手である消費者が一緒になって、正規品とB品の基準を捉え直す機会を生みだしてきました。
NO PROBLEM storeは、これまでB品として扱われていた使用上問題のないものを、NO PROBLEM(NP)品として定価で販売する試みです。プロジェクトに賛同したVISION GLASS JP、SIWA|紙和、うなぎの寝床、tamaki niime、MARUGO、Awabi wareのほか、21_21 DESIGN SIGHT SHOPのNP品がギャラリー3に並びました。
会場では、各製品の検品基準を、参加ブランドの声とともに丁寧に解説するほか、NO PROBLEMプロジェクトのこれまでの歩みを、スライドショーで紹介。NP品のお買い物を楽しみながら、その考え方にも触れることができるプログラムとなりました。

企画展「㊙展 めったに見られないデザイナー達の原画」に関連して、『Tokyo Midtown STYLE』42号に、展覧会ディレクター 田川欣哉と、デザインエンジニアで、日本デザインコミッティーのメンバーでもある山中俊治のインタビューが掲載されました。
田川は本展の企画意図について、山中は自身のスケッチについて語りました。
下記ウェブサイトでも紹介されています。18-20ページをぜひご覧ください。

>> 東京ミッドタウン ウェブサイト

『Tokyo Midtown STYLE』42号

「㊙展 めったに見られないデザイナー達の原画」の会場から、26名の参加作家のうち5名による作品の一部をピックアップ。プロダクト、グラフィック、建築など、多様なデザイン領域の第一線で生まれたものの原点が、それぞれどのように表現されているのか、デザインジャーナリストの土田貴宏が考察します。

乳酸菌飲料「ヤクルト」は、日本に暮らす人なら誰でも目にしたことがあるでしょう。その容器は、日本のインテリアデザイナーの草分けである剣持 勇と、彼が設立したデザイン事務所で代表を長年務める松本哲夫によって、1968年にデザインされました。松本さんは日本デザインコミッティーの現役メンバーの最年長のひとりで1929年生まれ。当時は事務所のチーフデザイナーとして、それまでガラス瓶入りだったヤクルトを、プラスチックの容器へと一新しました。

本展のポスターやフライヤーに使われ、会場でも象徴的に展示されているのは、ヤクルト容器をデザインする過程で試作された石膏模型(復元)です。近年は、こうした立体のデザインでは、コンピュータで制作したデータを3Dプリンタで出力し、形状を検証するのが一般的です。しかし当時は、石膏、木、粘土などを素材に手作業で試作を行うことが広く行われていました。現在に比べると、試作にも慎重さが求められたに違いありません。飲み物の容器としては異例の小さなサイズや、日常的な使用にふさわしい丈夫さとコストなど、制約も大きかったはずです。明確な個性をもちながら、やがてスタンダードな存在となったヤクルトの形は、当時から変わらず今も親しまれています。その認知度の高さは、2010年に立体商標として認められたことによっても証明されました。

1986年にパッケージを変更し、日本のティシューの定番になっているのが、グラフィックデザイナーの松永 真がデザインした「スコッティ」です。この年に実施された国際コンペを松永さんが勝ち取り、かつてない洗練されたデザインが誕生しました。ただしコンペでは、本来、パッケージに花柄と既存のロゴを使うことが条件だったといいます。松永さんは思い切って自分の感性に従い、条件に反したデザインを提案。結果、見事に採用が決まります。「花が本来持っている優しさ、柔らかさ、好感度」を、7文字のアルファベットによる新しいロゴに移行したのだと、松永さんは自著『松永真、デザインの話。』で語っています。この本は本展会場のライブラリーコーナーで読むことができます。

松永さんは、スコッティの他にも「カルビー」「ブレンディ」「ベネッセ」など多くのブランドのロゴをデザインしているグラフィック界の大ベテランです。たとえばカルビーのロゴは、スタジアムの広告スペースなどに掲示された際、見る角度によって文字の形が変わることも考慮して、縦横のバランスが検討されたようです。

「㊙展」の中でひときわ圧巻なもののひとつが、建築家の隈 研吾のコーナーです。展示ケースの内部を埋め尽くしているのは、隈さん自身による膨大な量の走り書き。その上には、今年、完成するJR高輪ゲートウェイ駅のためのバリエーション豊かな試作模型がいくつも並んでいます。

折り重なっている手書きのメモには、雑誌への寄稿文らしきものとともに、「La Kagu」「スタバ」「富山クレオン」といった、隈さんが設計に携わった物件の名前が読めます。世界各国で多数のプロジェクトを同時進行している彼は、自身の考えをこのようなメモで事務所のスタッフに伝達し、それをもとに設計が進んでいくのです。つまりこのメモが、隈さんの創造の基点となる"原画"。一連のメモから伝わってくるのは、あふれるような発想の力と思考のスピードで、その勢いを受け止めて一緒に展示してあるような試作模型が生まれます。ちなみにメモの文章をすべて正確に読解できるスタッフは、事務所にひとりしかいないそうです。

La Kagu ©Keishin Horikoshi / SS Tokyo
スターバックスコーヒー 太宰府天満宮表参道店 ©Masao Nishikawa

暮らしに根づいた家具や生活用品を多くデザインする小泉 誠の展示ケースは、隈 研吾とは対象的に、静かな時間の流れを感じさせます。そこに置かれたキャプションには「デザインの素は、つくり手の技と心意気、そして創意工夫した過去の形が手本です」とあります。小泉さんは、自身によるプロダクトや試作品と区別せずに、古道具と呼んでいいオブジェをいくつも並べました。古びたものがもつ、機能と結びついた形や、使い込まれた表情、無駄のなさが生む美しさ。彼のデザイナーとしての魅力が、そのような要素と深いところで結びついていることがわかります。

「㊙展」はそもそも、すぐれたデザインの原点にあるインスピレーションを、幅広い世代の人々で共有しようと企画された展覧会です。インスピレーションは、時には手描きのスケッチの最中に、時には試作の過程に、つくり手の中に舞い降りてきます。小泉さんの場合、それは過去に人々が生み出したものとの対話の中にあるのかもしれません。時を経たオブジェと彼自身によるデザインが併置されることで、シンプルなフォルムが語りかけてくるように感じます。

電子体温計「けんおんくん」Photo by Koji Miura

プロダクトデザイナーの柴田文江は、日本デザインコミッティーのメンバーの中でも若い世代にあたります。代表作のひとつである電子体温計「けんおんくん」の試作では、形状の検討に3Dプリンタが使われました。柴田さんは、もともと手描きのスケッチをほとんど用いることなく大半のデザインを行うといいます。手で粘土をこねて形をつくり出すのに相当する作業を、コンピュータの中で3Dデータを加工しながら行うのです。その結果を手にとって検証するため使うのが、3Dプリンタで出力したグレーのモデル。現在は3次元のデータを扱うアプリケーションの発展により、こうしたプロセスで形態の完成度を高めるデザイナーが増えています。この進め方には、データをメーカーと共有し、そのまま製造に活かせるというメリットがあります。

そのため、柴田さんの展示ケースには"原画らしきもの"があまり見当たりません。しかし完成したデザインには、柴田さんらしいラインがはっきりとあり、人間性さえ伝わってくる気がします。デザインのためのツールが時代や世代によって変わっても、つくり手と最終的な形態は密接に結びついているのです。

「㊙展」では他にも芸術家、工芸家、評論家など、計26名の多様な領域で活躍する作家の作品が展示され、それぞれのクリエイションの原点にあるものを伝えます。そのセレクトや構成も参加作家ごとに趣向が凝らされ、各々の世界観を垣間見せてくれます。何度、足を運んでも、新しい発見があるに違いありません。

文/写真・土田貴宏

ギャラリー3では、2月14日まで、「Hacoa Exhibition & Shop 木工とチョコレートの関係」が開催されています。
1500年の歴史を誇る越前漆器の産地・福井県鯖江市でうまれた木製デザイン雑貨ブランドHacoa(ハコア)は、伝統工芸品の産地が衰退を続ける中、技術継承と後継者問題を解決したい、という想いのもと、日々ものづくりと真剣に向き合っています。
多くの若者たちが、「ここで働きたい」と全国から田舎に移住してくる理由は、「変えてはいけないもの、変えるべきもの」を見極め、進化し続けるものづくりへの実直な姿勢に共感してくれるから。
そんなHacoaが、今、なぜ、チョコレートをつくるのか? ブランドの歴史や商品開発のプロセス展示、販売とワークショップを通して、その理由を解き明かします。ぜひご来場ください。

2020年1月25日、企画展「㊙展 めったに見られないデザイナー達の原画」に関連して、クロストーク「建築のマル秘 内藤 廣×田根 剛」を開催しました。
日本デザインコミッティーのメンバーである内藤 廣が、ゲストに田根 剛を迎え、「建築」をテーマに語り合いました。モデレーターを、展覧会ディレクターの田川欣哉が務めました。

本トークは、田根が、会場に展示されている内藤の"原画"について、内藤本人に尋ねる形式を用いました。
内藤が自身の持つ二面性を描いたスケッチ「青鬼と赤鬼」には、建築をつくるときの葛藤や矛盾が表れているように感じたと田根は言います。クリエイターである一方、社会との整合性をとる必要もある、建築家という職業。人間を本質的な対象とするため、ものごとを処理したりまとめ上げたりすることと逆のモチベーションもあるはずだと、内藤は答えました。
また、「デザインの領域の再構成」や「ArchitectureとDesign」といったスケッチについては、描かれた図をスタートに、国内外の社会思想やデザインに対する捉え方にも話が及びました。
さらに田根が選んだのは、内藤の手帳に貼られた「民法」の条文。「私権は公共の福祉に適合しなければならない」という一文に、建築やデザインはどう関わるのかという各々の意見を述べました。
トークの最後には、未来に関する議題があがり、世界を取り巻くテクノロジーや新たな技術、モノとコトの関係性などを語りました。

2020年1月11日、企画展「㊙展 めったに見られないデザイナー達の原画」に関連し、ギャラリートーク/原画解説「頭の中のキラキラを外に出すプロセスのマル秘」を開催しました。グラフィックデザイナーであり、日本デザインコミッティーのメンバーでもある原 研哉によるイベントです。

「人々の頭の中のイメージは大体キラキラしているものだが、それを外に出してしまうとたいていの場合、萎んでしまう。プロフェッショナルは、そのイメージが損なわれないよう外に出す技術を磨いていく必要がある」と語る原。トークでは、会場にて展示されているスケッチを中心に、自らが関わったプロジェクトのプロセスを説明しました。

雑誌『一冊の本』表紙では、スーパーリアルの画家 水谷嘉孝に仕上げてもらうための原画を、原は約25年前から描き続けており、イメージをリアルなかたちとして表出するプロセスを、具体例をあげながら解説しました。

「HOUSE VISION 2016 TOKYO EXHIBITION」では、精細なスケッチが描かれた台割に基づく書籍編集によって展覧会のディレクションを行なったことなどに触れ、原が、頭の中に描いたイメージを、どのようにスケッチに落とし込み、グラフィックや展覧会を成り立たせているかについて語りました。

台割に添った精細なスケッチは、書籍の編集デザインであると同時に、展覧会のディレクションの中核的な作業であることを説明しました。「建築としての展示ハウスの把握や、それを写真としてどう表現するかを、細部にわたって描いていくことで展覧会ディレクターとしての準備作業が完成していく」という原の解説は、自身のスケッチの意味を分かりやすく解きあかすものでした。