Loading...

contents

野生展:飼いならされない感覚と思考 (2)

2017年10月28日、企画展「野生展:飼いならされない感覚と思考」に関連して、オープニングトーク「はみだし野生」を開催しました。
トークには、本展ディレクターの中沢新一と参加作家のしりあがり寿が登壇しました。

まず、両者はしりあがり寿の作品「野生の現出」について触れました。「しりあがり寿の作品に野生を見る」と語る中沢。日本に存在する野生とは、下品なものではなく何か違うものだと考えたとき、しりあがり寿の名前が浮かんだと言います。さらに、日本古来の芸術表現が野生的であるとすれば、野生とはとてもエレガントなのだという認識を得たと中沢は語りました。

話題は、「かわいい」と野生の関係性に移ります。本展では、「『かわいい』の考古学:野生の化身たち」と題して、縄文土器から現代のキャラクターに至るまで、日本人が「野生の依り代」として生み出してきた「かわいい」造形を展示しています。その「かわいらしさ」は、捉えどころのない野生の領域を、形としてどう表現するかにかかっていると中沢は言います。しりあがり寿のスケッチを使って、野生の領域について解説します。

しりあがり寿は、野生は「ごちそう」だと言います。「人間は、予測不可能な混沌に満ちた野生的なものに出会うと、そこから秩序をつくる」と述べ、つまり秩序とは、人間が取り入れた野生を排泄したものであり、人々が求めているのはまさに野生であると語りました。

トーク終盤では、ものづくりにおける野生の力について触れられました。法律やきまりなどを意識し、枠を超えた表現が難しくなっている昨今において、野生の領域は日本に残された独占領域であり、創造の原点であると中沢は語りました。 様々な視点から野生について語る二人の言葉から、「野生の発見方法」に通じるヒントが垣間見えるトークとなりました。

2017年10月20日、いよいよ開幕となる「野生展:飼いならされない感覚と思考」の会場の様子を、いちはやくお届けします。

人間の文化と生活には、心の土台となる「野生」の能力が欠かせません。
理性や合理性ばかりが前面にあらわれる現代においても、私たちの本能であり知性でもある野生の感覚と思考は、いまだ失われていません。
本展は、現代の表現者たちのもつ野生の魅力に着目し、さまざまな作品や資料を通して、その力を発動させるための「野生の発見方法」を紐解く展覧会です。

写真:淺川 敏/Photo: Satoshi Asakawa