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2015年5月 (8)

企画展「単位展 ― あれくらい それくらい どれくらい?」は、多くの企業・団体との恊働により実現しました。ここでは、様々な分野で私たちの生活を支える「企業の単位」にまつわるエピソードを、本展会場写真とともにご紹介します。


「単位展」展示作品『デザインと単位:UNIT3、UNIT4』熊野 亘
Photo: 木奥恵三

株式会社マルニ木工 開発部 川上敏宏
MARUNI WOOD INDUSTRY INC. Development Department Toshihiro Kawakami

― 本展展示作品に生きているマルニの「単位」は何ですか

作品名「UNIT3」「UNIT4」が示すようにポイントとなる単位は「ユニット」です。わずかに傾斜した座板と脚の組合せを1つの単位=「ユニット」として、3本脚タイプは3つのユニットから、4本脚タイプは4つのユニットからそれぞれ構成されています。

― あなたのお仕事でよく使う単位を教えてください

私は木製家具の開発に携わっています。図面を扱うことが多いので「ミリメートル」をよく使います。テーブルの大きさや椅子の座面の高さなど、家具の使い勝手に最も大きく影響を及ぼす要素がサイズであり、細部の指定はミリ単位まで行いますので「ミリメートル」を使用しています。家具には様々な素材を使用しますが、その素材によって単位が異なります。木材であれば厚みは「インチ」で長さは「フィート」、クッション材のウレタンフォームは「リットル」、ファブリックは「反(たん)」、皮革は「デシ=平方デシメートル」と使用する単位は多岐にわたります。

― 「単位展」ご来場者へのメッセージをお願いします

今回の「単位展」ではデザイナー熊野亘さんの作品「UNIT3」「UNIT4」を技術協力という形で製作させていただきました。見た目以上に座り心地の良いスツールですので、実際に座っていただく事ができないのが残念ですが、この作品を通じて天然木の魅力や木材の可能性を少しでも感じとっていただければ幸いです。

株式会社マルニ木工 MARUNI WOOD INDUSTRY INC.
マルニ木工は「工芸の工業化」をモットーに、1928年の創業から85年以上木工家具をつくり続けてきました。近年では2005年から3年間、世界の著名なデザイナーとnextmaruniプロジェクトに取り組み、日本の家具を世界に発信。2008年にはデザイナーの深澤直人氏と共に、人間的な温かみがありながら精緻で清浄なイメージの家具を目指し、HIROSHIMAをはじめとするMARUNI COLLECTIONを発表。そして2011年にはジャスパー・モリソン氏も加わり、年々その世界観を広げています。デザイナーと技術者が真摯に向き合い、木の魅力を引き出すデザインと職人による精緻なモノづくりによって、100年経っても「世界の定番」として認められる木工家具をつくり続けています。

開催中の企画展「単位展 ― あれくらい それくらい どれくらい?」展示作品より、「Giraffe's Eye」の参加作家の一人、岡田憲一(LENS)による映像が、東京ミッドタウン内にて期間限定で放映されています。ぜひご覧ください。

開催中の企画展「単位展 ― あれくらい それくらい どれくらい?」展示作品より、「1秒の世界」の参加作家の一人、岡崎智弘による映像が、東京ミッドタウン内にて期間限定で放映されています。
展覧会期中には、他の参加作家による予告映像の放映も予定しています。ぜひご覧ください。

企画展「単位展 ― あれくらい それくらい どれくらい?」は、多くの企業・団体との恊働により実現しました。ここでは、様々な分野で私たちの生活を支える「企業の単位」にまつわるエピソードを、本展会場写真とともにご紹介します。


「単位展」展示作品『A判とB判』展覧会企画チーム/構成:岡本 健
Photo: 木奥恵三

株式会社 竹尾 植村行人
TAKEO Co., Ltd. Yukito Uemura

― 本展展示作品に生きている竹尾の「単位」は何ですか

A判、B判
mm(ミリメートル)

― あなたのお仕事でよく使う単位を教えてください

重さ : g/㎡(グラム平米)、kg(キログラム)、t(トン)
厚さ : μ(ミクロン)
大きさ : 四六判(しろくばん)、菊判(きくばん)、A列、B列、mm(ミリメートル)
包み : 丁(ちょう)
数 : 連(れん)、枚(まい)
流通 : パレット

― 竹尾らしさにつながる「単位」があれば教えてください

紙の重さを表す方法は「坪量」と「連量」の二種類あります。
坪量とは1㎡当たりの重量のことです。「g/㎡」で表示します。
連量とは1連(=1,000枚)の紙の重量のことをいい、単位はkgです。
紙のサイズと合わせて表示され、たとえば「四六判100kg」という表示は、四六判(1091mm×788mm)サイズの紙、1,000枚を積み上げた重さを計ると100kgある、ということです。
坪量、連量は紙の厚みを示す目安として使用されます。

― 竹尾の中にある、「単位」によって生まれる景色を教えてください

「枚、丁、連」
「枚」
一般的な紙の枚数の単位
「丁」
銘柄により、1梱包の枚数が100枚、250枚と決まっており、その1包みあたりの単位。
「連」
全紙1,000枚あたりの単位

― 「単位展」ご来場者へのメッセージをお願いします

A4サイズ、B5サイズなど、普段よく触れる紙の大きさ。そのA列とB列の大きさの違いや、A1の半分がA2、A2の半分がA3、A3の半分がA4と、知っていても、今回のような形として見られる事はありません。
また、会場の「A判とB判」では、A1~A7、B1~B7の各サイズそれぞれ1,000枚ずつ、合計で7,000枚が一つの山に積まれています。1枚では薄い紙も、積まれることで重い塊になります。でも7,000枚あってもこの程度の高さ...
様々な紙の単位、また、岡本 健さんが選んでくれたきれいな色を通して、紙を楽しんでください。

株式会社竹尾 TAKEO Co., Ltd.
1899年(明治32年)創業の紙の専門商社。創業当時より洋紙の輸入・販売を行ない、1950年代からはデザイナーや製紙会社との協働により、質感や色を重視した「ファインペーパー」の研究と開発を開始、数々のオリジナル商品を生み出してきました。さらに、1965年以来開催している「竹尾ペーパーショウ」をはじめ、紙のショールーム「見本帖本店」の運営や「竹尾ポスターコレクション」「竹尾賞」等、紙文化の発展に力を注いでいます。「紙・デザイン・テクノロジー」を根底に置き、新しい紙の文化と市場づくりに挑戦し続けています。

企画展「単位展 ― あれくらい それくらい どれくらい?」は、多くの企業・団体との恊働により実現しました。ここでは、様々な分野で私たちの生活を支える「企業の単位」にまつわるエピソードを、本展会場写真とともにご紹介します。


「単位展」展示作品『無印良品の単位』佐野文彦+無印良品
Photo: 木奥恵三

株式会社 良品計画 小山裕介、岡本和士
Ryohin Keikaku Co., Ltd. Yusuke Koyama, Kazuaki Okamoto

― 本展展示作品に生きている無印良品の「単位」は何ですか

無印良品の商品において追究しているテーマのひとつに「モジュール」があります。
本展示では、そのモジュールを単位として表現しようと考え、無印良品が持つモジュールの中心であるユニットシェルフと、シェルフに収まるように設計された商品群を使って無印良品の単位を表現しました。

― あなたのお仕事でよく使う単位を教えてください

製造小売業にとって大切な単位として「SKU」という単位があります。※SKU...最小管理単位 (Stock Keeping Unit) の略。
商品で良く使われる言葉としてシリーズという単語がありますが、シリーズは一つでも、カラーやバリエーション展開が10個あれば10SKUとなります。SKUが多ければ多い程、お客様は悩み、何が本当に欲しいのか分からなくなり、製造する側も在庫が余分に増え、無駄な商品が多く生まれる可能性があります。
無印良品において、SKUは極力少なく開発しようという想いがあります。
それは、余分な要素を極力減らす事で、なるべく省資源、省エネルギー、これでいいと思える最適な商品づくりに繋がると考えているからです。

― 無印良品らしさにつながる「単位」があれば教えてください

無印良品では日本の住宅に使われている「尺貫法」を元に、基本となる寸法を定め、大型家具から小物の収納用品に至るまで当てはめて設計しています。
その結果、無印良品の収納は無理なくきれいに収まり生活空間に溶け込みます。

― 無印良品の中にある、「単位」によって生まれる景色を教えてください

無印良品の収納箱には、木、布、紙、樹脂、竹など様々な素材のものがありますが、全て共通の基準寸法で出来ているので素材の違うアイテム同士でも自由自在に組み合わせることができ、きれいに収めることができます。

― 「単位展」ご来場者へのメッセージをお願いします

無印良品が建築家・佐野文彦さんの感性に触れ、これまでの無印良品にはなかったひとつの表現の作品となっております。収納と生活空間が一体化した壁のない空間は、日本建築の伝統的な考え方に対する無印良品としての変わらない尊敬の念と、これからの生活空間への提案を表現しています。
様々な角度から、鳥の目、虫の目でご覧いただき何かを感じ取っていただけたら幸いです。

株式会社 良品計画 Ryohin Keikaku Co., Ltd.
無印良品は1980年、当時の流通業界をけん引してきた堤 清二とグラフィックデザイナーの田中一光という、ふたりの思想の交感から誕生しました。
商品開発の基本は、生活の基本となる本当に必要なものを、本当に必要なかたちでつくること。そのために、素材を見直し、生産工程の手間を省き、包装を簡略にしました。この方針が時代の美意識に合い、シンプルで美しい商品が長く愛されてきました。

開催中の企画展「単位展 ― あれくらい それくらい どれくらい?」展示作品より、「速さの比較:マッハ1ってどれくらい?」の構成を担当した菅 俊一による映像が、東京ミッドタウン内にて期間限定で放映されています。
展覧会期中には、他の参加作家による予告映像の放映も予定しています。ぜひご覧ください。

2015年5月9日、「単位展」参加作家であり、アートディレクターの岡崎智弘と、一般社団法人Think the Earthの上田壮一によるトーク「1秒の世界」を開催しました。

本展企画進行の前村達也が、展覧会のリサーチ初期、1秒間に起こる世界の事象がつづられた書籍『1秒の世界』と出会い、遊びの要素を取り入れながらも社会的なテーマに基づいたコンテンツを展示したいと考えたことから、著者の上田にコンタクトし、また、岡崎に参加を呼びかけた経緯を語りました。

「エコロジーとエコノミーの共存」をテーマに、地球の大切さを世界に繋げる活動を行なっている上田が属するNPO、Think the Earthと、NHK エデュケーショナルのテレビ番組「デザインあ」の「解散!」で知られる岡崎。両者の活動に触れたのち、岡崎の作風であるコマ撮り映像の緻密さが1秒の世界に組み込まれてゆくプロセスが語られました。
書籍『1秒の世界』における環境、経済、社会の大きな変化量に驚いたという岡崎は、1秒間に15コマの映像を作成。その中に時折日常の動きとは違う要素を途中で足していったというプロセスは、「1秒というものをセンシティブに見ることに繋がった」と述べました。

最後には、二人がお互いの質問に応え合う形式となり、各々の「1秒の世界」に対する想いや、気持ちの切り替えの瞬間を秒数で判断することの難しさ、見えない時間の話などとトークは弾みました。

企画展「単位展 ― あれくらい それくらい どれくらい?」では、「みんなのはかり」と題し、各界で活躍する8名の方に、「単位」「はかり」をテーマに思い入れのあるものをご出展いただきました。ここでは、それぞれの「はかり」に込められた思いやエピソードを、会場写真とともに紹介します。


写真:木奥恵三

「お金の価値とは?」 柳本浩市

ハイパー・インフレになると、パン1個を買うのに何兆円もかかるということが起こります。もはやお金はコピー用紙よりも安くなり、無価値化します。そんな驚異的な桁の紙幣からお金と価値について考えさせられます。

「みんなのはかり」参加作家

葛西 薫
木内 昇
クライン ダイサム アーキテクツ
作原文子
高山なおみ
皆川 明
Jasper Morrison
柳本浩市