2015年9月 (3)

「建築家 フランク・ゲーリー展 "I Have an Idea"」
フランク・ゲーリーのマニフェスト

2015年10月16日に開幕となる企画展「建築家 フランク・ゲーリー展 "I Have an Idea"」。

「君たち、オレのマニフェストを知ってるか」はじめて面会したゲーリー氏は最初にそう言い出しました。
ゲーリーは一夜の思いつきや、ちっぽけな発想、一瞬の閃きによって建築をつくりません。大量の模型をつくっては壊し、壊してはつくり上げる輝かしいプロジェクトの数々。
アイデアを信じるゲーリーの本音のマニフェストを聞いたとき、 この展覧会のコンセプトは決まりました。」(展覧会ディレクター 田根 剛のメッセージより)

ウォルト・ディズニー・コンサートホール竣工の際に発表されたマニフェスト(2003年)を、再びゲーリー自身が読み上げる様子を本展のために撮りおろしました。真面目な表情で読み上げられる本音のマニフェストには、ひとりの建築家が闘ってきた道のりを垣間みることができます。

編集:LUFTZUG

フランク・ゲーリーのマニフェスト

まずアイデアが浮かぶ。しょうもないけど気に入る。模型をつくって嫌いになるまで見続けて、それから違う模型をつくることで、最初のしょうもないアイデアを別の見方でみる。するとまた気に入る。でもその気持ちは続かない。部分的に大嫌いになって、再び違う模型をつくってみると、全然違うけど気に入る。眺めているうちに、すぐに嫌いになる。直しているうちに新しいアイデアが浮かんで、そっちの方が気に入るけど、また嫌いになる。でもまんざらでもない。
どうするか? そう、また模型をつくって、次から次へとつくる。模型を保管するだけでも膨大な費用がかかる。でもどんどん続ける。次から次へと進めるうちに、ほら見ろ、最高傑作だ。
輝かしく、安上がりで、今までに見たことがないものだ。だから誰も気に入らない。

悔しくて死にたくなる。ところが、神様がメッセンジャーを送り込んで皆に催眠術をかけるので、皆気に入る。そしてアイデアを盗もうとする。模型も盗んで行こうとする。頭脳や魂まで持って行こうとする。でも踏ん張って、絶対にくれてやらない。
やりたいのは、新しいアイデアを生むことだけ。たった一人で新しい模型をつくり続けたい。保管するのに膨大な金がかかるので、こんなことをしていると模型の倉庫代で破産する。
これは偉大な歴史。伝説でもあり本当のことなんだ。
この続きがどうなるかと言えば、皆が嫉妬し始める。嫉妬が彼らに努力するよう仕向けるならばいいけれど、大半は壊すためにがんばる。そこんとこが厄介。

【展覧会紹介】国立新美術館「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」

デザイナーであり、21_21 DESIGN SIGHTディレクターの一人でもある三宅一生の仕事を紹介する展覧会「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」が、2016年3月16日より国立新美術館で開催されます。

国立新美術館「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」

2016年3月16日(水)- 6月13日(月)
休館日:火曜日(ただし、5月3日は開館)
会場:国立新美術館 企画展示室2E
開館時間:10:00 - 18:00 金曜日は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)

主催:国立新美術館
共催:公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団、株式会社 三宅デザイン事務所、株式会社 イッセイ ミヤケ
お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)

デザイナーの三宅一生は、1970年に三宅デザイン事務所を立ち上げ、つねに次の時代を見すえながら、新しい服づくりの方法論と可能性を示しています。一枚の布と身体との関係を基本に、チームと取り組むさまざまな研究開発から生まれた衣服は、革新性と心地よさをかね備え、私たちの生活を活気づけています。本展は、三宅一生の仕事を通して、こどもから大人まで、だれもがつくることの楽しさに触れられる展覧会です。

>>国立新美術館 ウェブサイト

トーク「真鍋大度 × 菱川勢一」が開催されました

2015年9月5日、「動きのカガク展」展覧会ディレクターの菱川勢一が、クリエイター集団ライゾマティクスの一員、真鍋大度を会場に迎え、トークイベントを開催しました。その活躍がともに国内外で高く評価される真鍋と菱川。ふたりを取り巻く「動き」をテーマに、これからの「ものづくり」について語り合いました。

メディアアーティストである真鍋と映像作家である菱川。トークは、ふたりの共通の関心事であった「音楽」から始まります。ミュージシャンである両親のもとに育ち、学生のころからDJとしても活躍している真鍋にとって音楽は身近なもの。会場スクリーンで今までの活動をたどっていくと、レーザーの動きを音に変換させるといった初期の試みから、真鍋の「聴覚と視覚の結びつき」への関心を伺うことができました。対する菱川も、「映像」への興味の発端が80年代のミュージックビデオに遡ると語ります。なめらかにつながる音に比べ、映像は1秒間に30コマが限界。映像を制作するにあたって、音と像のズレは悩みの種であるように話すものの、突き詰めていくと大変興味深い「音の魅力」を強調しました。

話題はそれぞれの最近の関心へと移っていきます。真鍋が取り上げたのは「ドローン」。ダンサーの動きを記録し、それをドローンにインストールすることで、人間とドローンのコラボレーションを可能にしたパフォーマンス作品でも知られているライゾマティクスでありますが、真鍋はそこに次なる可能性「人工知能」を組み込んでみたいと話しました。扱う数が増えれば増えるほどその設定に手間がかかるというドローン。それぞれに人工知能を植え付け独自に判断ができるようにさせることで、実現できるアイデアは大きく広がると考えます。
対して菱川が取り上げたのは「宇宙」。本展でも多くの作品がテーマとして扱う「重力」をはじめ、地球の「当たり前」が通用しない空間において、自分ならどんな作品をつくることができるだろうか。知識は持っていても実態を知り得ない「宇宙」こそを表現するフィールドとして究極目標にしたいと、菱川は熱く語りました。

「動きのカガク」に触れることができるのは本展会場だけに限られません。例えば映像制作の現場には、人が住むことのできるような家をたった数日間で建てることができる建設技術があると菱川は話します。一般にはあまり知られないこの技術を社会福祉に利用したらどうだろう。真鍋が自らの作品に利用してみたいと述べた「宇宙開発」や「医療」に関する技術に至っても、その技術の利用を限られた業界から解き放てるとしたらそこには大きな可能性が広がるという。同様に、メディア・アートの世界で見出された技術も、アートの枠組みを超えて社会に役立てることができるかもしれない。ふたりの会話は弾みます。

真鍋と菱川はともに「組み合わせる」ことができる人は、結果的に「新しいものを生み出す」ことができると結論づけました。身の回りにあるそれぞれ違ったものを、同じ文脈に並べてみると、そこにははじめて見えてくるものがあります。身の回りの情報にアンテナを張り続け、興味を持ったものに常に全力を注ぐ真鍋と菱川。彼らの好奇心ははかりしれません。「ものづくり」のこれからは、そんな好奇心にかかっているのかもしれません。

Page Top