2010年11月 (7)

スペシャルトーク

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本展ディレクターの三宅一生、アートディレクターの浅葉克己に、参加作家で惑星物理学者の松井孝典を迎えたスペシャルトーク。三宅が2008年の「XXIc.ー21世紀人」展のリサーチ段階から今日まで熟読した松井の著書「われわれはどこへ行くのか?」。トーク前半の基調講演では、この書籍に綴られた宇宙の誕生から今日の人間の営みまで137億年の物語を、「人間圏」「チキュウ学的人間論」という、松井独自の概念から解説。産業革命後の文明の、大きな転換点である現在、我々に求められる行動や表現において、重要となるキーワードが「再生・再創造」であり、「REALITY LAB」であると語りました。

続いて浅葉が登壇。宇宙の歴史を繙く古文書のような隕石と、松井との共同作であるポスターについて、一点一点丁寧に解説しました。最後に三宅が登壇し、情報技術や地球環境など、ものづくりをとりまく状況が劇的に変化する中で、若い人々に勢いを持って日本と世界を繋げて欲しいと、展示中の最新の仕事について語りました。人間にできることをもう一度見直し、つくることが面白いという気持ちを取り戻すひとつのムーブメントになればと、熱いメッセージを伝えました。活発な質疑応答の後、浅葉のピンポンパフォーマンスで終了したスペシャルトーク。600名を超える参加者が、それぞれの「再生・再創造」について考えを巡らせたことでしょう。

展覧会を10倍楽しんでいただくために

展覧会ディレクター 関 康子によるウェブコラム
「倉俣史朗とエットレ・ソットサス」展への道 第1回


はじめまして。来年2月2日から、21_21 DESIGN SIGHTで開催される「倉俣史朗とエットレ・ソットサス」展のディレクションを仰せつかっている関 康子です。これから開催までの2カ月余り、数回に分けて、展覧会を10倍?楽しんでいただけるよう、「『倉俣史朗とエットレ・ソットサス』展への道」と題して、お二人のこと、Making of Exhibitionの模様などをタイムリーにご紹介してまいります。どうぞ、よろしくお願いします。
さて、今回は第1回目ということで、プロローグとして本展企画の経緯をお話ししたいと思います。

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倉俣史朗とエットレ・ソットサス
1990年、日本にて Photo: Takayuki Ogawa


倉俣さんのこと

2011年2月1日は、倉俣史朗さんが急逝されて20年目にあたります。倉俣さんは、皆さんもご存じのように、戦後の日本を代表するデザイナーであり、日本人デザイナーが海外で活動する足がかりをつくり、現在のデザインに多大な影響を与えています。また、21_21 DESIGN SIGHTのディレクターの一人である三宅一生さんとは深い信頼関係で結ばれ、70年 - 80年代にかけて、100店舗以上の「ISSEY MIYAKE」ショップのデザインを手がけ、その中からいくつもの代表作が生まれています。残念ながら、そのインテリア作品のほとんどは現存していませんが、今回は倉俣さんの家具や小物を大切にもち続ける方々のご協力を得て、その一部が展示されます。本展は、倉俣さん没後20年、次の時代をつくる人たちに伝えたいという三宅さんの思いが発端となっているのです。

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スターピースをつかった「ISSEY MIYAKE 松屋銀座」(1983)
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ヨセフ・ホフマンへのオマージュ「ビギン ザ ビギン」(1985)
Photo: Hiroyuki Hirai
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倉俣史朗のメンフィス作品「Ritz」(1981)
Photo:Courtesy of Memphis


ソットサスのこと

そして、この倉俣さんが唯一、師と仰ぎ、大きな影響を受けた人物がイタリアデザイン界の巨匠、建築家・デザイナーのエットレ・ソットサスです。歴史的にも芸術の天才を多く輩出しているイタリアにあって、その作品ばかりでなく、思想や行動においても圧倒的な存在感を放っていたのがソットサスでした。そんな彼が70年代からミラノやフィレンツェで始まった「ヌォーボ・デザイン」運動における、彼なりのかたちとして「メンフィス」を立ち上げ、80年代以降の建築、デザインに大きな影響を与えました。この辺のお話は、第2回目以降にお伝えします。そして、ソットサスはメンフィスの活動に、建築家の磯崎新さん、デザイナーの梅田正徳さん、そして倉俣史朗さんらを招聘し、これ以降ソットサスと倉俣さんは深い友情を育んでいきます。この出会いが、バラの造花を封印した倉俣作品のアイコン「ミス・ブランチ」、光り輝く素材「スターピース」など、誰もが思い浮かべる倉俣デザインを生むきっかけのひとつとなりました。

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「カールトン」メンフィスから(1981)
Photo: Aldo Ballo
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「agesicora」メンフィスから(1986)
Photo: Erik and petra hesmerg


夢見る人が、夢見たデザイン

本展では、展覧会タイトルそのままに倉俣史朗とエットレ・ソットサスの出会った80年代以降の倉俣さんの家具と小物、ソットサスは最晩年に描いたスケッチを元に制作し、今回世界初公開となるアートピース「カチナ」シリーズを展示し、二人の夢と愛に満ちた世界を表現します。

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カチナのスケッチから(2005~)
Photo: Erik & Petra Hesmerg - Amsterdam,The Gallery Mourmans-Lanaken )
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カチナのスケッチから(2005~)
Photo: Erik & Petra Hesmerg - Amsterdam,The Gallery Mourmans-Lanaken )


けれども本展は、二人の活動や思想を知る入口です。二人のデザインをより深く理解していただくためには、展示作品以外の仕事や、何よりその人柄に触れていただきたいと思います。特に倉俣さんのインテリアデザインがほとんど現存していない今、当時の写真から彼が創造した空間世界を感じていただきたいと考えています。そこで、会場では、作品展示に加えて、生前の映像、その活動の全容を俯瞰するスライドショーも上映いたします。また、本展カタログも兼ねた、二人のデザインを知る入門書『倉俣史朗とエットレ・ソットサス』を展覧会に先立ち12月初旬から発売いたします。加えて、展覧会開催中には、多彩なゲストをお招きして、二人の活動や創作の秘密に迫るトークショーなどのプログラムも用意しております。

21世紀も10年が過ぎた現在は、ITやインターネットの普及や、行き過ぎた市場主義や物質社会の見直しなど、二人が活躍していた時代とは大きく変貌しました。けれども人々が夢と愛を求めることは永遠に変わらないでしょう。二人のデザインは、そんな人々の願いをかたちにしたものでした。皆さまには、この機会を逃すことなく、倉俣史朗とエットレ・ソットサスという、「夢見る人が、夢見たデザイン」を十分に堪能していただければと思います。


「倉俣史朗とエットレ・ソットサス」展への道 第2回 へ

展覧会ディレクター 関 康子によるウェブコラム

トーク「BEYOND RECYCLE」

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本展参加作家でもある、REBIRTH PROJECTによるトーク。代表を務める伊勢谷友介と、今回の展示作品のアートディレクター藤元明を迎えて行いました。

変化する時代に、社会の中で山積みとなっている多く問題に対して、行動していこうというREBIRTH PROJECTでは、さまざまなプロジェクトが進行中です。始めに伊勢谷と各プロジェクトスタッフから2008年から行っている事例を紹介しました。「衣・食・住」にカテゴリー分けされた中には、Leeとのコラボレーション「LeeBIRTH PROJECT」や、新潟での米づくり、立て替え中の住居から出た廃材を使った家具など。
そして後半は伊勢谷自身の気づきから、現在の活動のきっかけを自ら語りました。旅の中で、「人生で最大の発見」をしたと話す伊勢谷、人間の生き方や本質を考えたそうです。人や環境といった周囲があるから生きていることを実感し、生き残るためにできることを探す、という姿勢がそのままREBIRTH PROJECTのコンセプトにもなっています。
藤元から今回の作品に関する解説も。現在の多面的なリサイクルの考え方に合わせた5種類の提案を、グラフィックの意図など表現方法も含めて、それぞれ説明を行いました。
最後には会場との質疑応答も実施。教育や、今後の活動に関する質問に参加者は熱心に耳を傾け、会場全体が熱く充実した時間となりました。

「REALITY LABーー再生・再創造」展ニュース [2]

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本展には宇宙に関する展示が含まれています。私たちの現在、これからを考える前に、私たち人間の来歴に一度目を向け、今の私たちの立ち位置を俯瞰してみようと、参加作家の浅葉克己(アートディレクター)+松井孝典(惑星物理学者)+鈴木 薫(フォトグラファー)による作品、そしてインスタレーションをご覧いただけます。

そのなかで、急きょ、展示作品のひとつとなったのが、小惑星探査機「はやぶさ」の模型(1/2スケール)。
11月16日、カプセルに小惑星「イトカワ」の微粒子が確認されたことが宇宙航空研究開発機構(JAXA)によって発表されたところですが、月以 外の天体の摂取物質が地球に持ち帰られるのは初めてのこと。日本の技術力によって実現した快挙であると同時に、今後、地球を含む太陽系の成り立ちを解明する大きな手がかりとして、世界からも注目されています。

「はやぶさ」模型の展示は11月28日(日)まで。どうぞお見逃しなく!


「REALITY LABーー再生・再創造」展ニュース [1]
「REALITY LABーー再生・再創造」展ニュース [2]

企画展 「REALITY LAB----再生・再創造」展

デザインの仕事とは、発想を現実化し、使い手のもとに届けるまでの積極的な試み、すなわち「REALITY LAB(リアリティ・ラボ)」

21_21 DESIGN SIGHTで2008年、明日のものづくりを考える「XXIc.-21世紀人」展を企画しました。地球環境や資源問題の現状のリサーチなど、同展の準備段階にさかのぼり、展覧会後も引き続き行ってきたリサーチ活動や多くの方々との会話が、今回の展覧会の背景となっています。

すばらしい技や叡智、熱意をもってものづくりに取り組んできた日本の産地は今、人材流失や工場閉鎖など、これまで以上に厳しい状態にあります。その現状に目を向け、今後のものづくりを真剣に考えないといけない段階を迎えています。

企業も個人も生き生きとして、自身の活動に大きな喜びを見いだしていた時代のように、感動をもたらすことのできるものづくりを改めて実現していくにはどうしたらいいのでしょうか。「再生・再創造」をキーワードに、「現実をつくるデザイン活動」とは何かを考え、日本からさらに世界に発信していきたいと思います。

三宅一生

展覧会ポスター
展覧会ポスター
Design:Katsumi Asaba

「REALITY LABーー再生・再創造」展ニュース [1]

「REALITY LAB--再生・再創造」展の開幕まであとわずかとなりました。作品制作に一層熱のこもる参加作家の状況を紹介します。

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パリを拠点として世界的に活躍するデザイナー、アーティスト、アリック・レヴィの本展参加が決定しました!
『Fixing Nature(フィクシング・ネイチャー)』。 "思考するデザイナー" アリックの渾身作。今週、ようやく作品が日本に到着しました。

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伊勢谷友介を代表とするREBIRTH PROJECTの制作も大詰めを迎えています。「BEYOND RECYCLE」をテーマとする新作ムービングロゴ、作品名は『New Recycle Mark(リサイクルマークの進化)』と決定しました。テーマの「BEYOND RECYCLE」については、11月23日に館内で開催する伊勢谷友介のトークでも詳しく紹介します。

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新境地に挑んだ岩崎 寛の作品も完成間近です。展覧会のテーマをふまえて「食の未来」に焦点をあてた岩崎。都内にある岩崎の写真スタジオにはCASフリージング・チルド・システムのフリーザーが設置され、築地市場や生産者から入手した新鮮な食材が、日々凍結されることに......。

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コンピュータ・サイエンティスト、三谷 純の立体折り紙の特色を、WOWの映像とともに紹介する『Spherical Origami』。さらに複雑な造形に挑んだ三谷の新作を複数含みながら、制作が進んでいます。


「REALITY LABーー再生・再創造」展ニュース [1]
「REALITY LABーー再生・再創造」展ニュース [2]

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