Loading...

contents

祈りの痕跡。 (9)

9月14日、「祈りの痕跡。」展ディレクター浅葉克己が東洋占術家の真矢茉子(まやまこ)をゲストに迎え、「トンパタロット トーク&占い」が行われました。

浅葉克己×真矢茉子


トンパタロットは浅葉と真矢が2001年に中国麗江(レイコウ)にある東巴(トンパ)文化研究所を訪れた際に偶然発見したもので、トンパ(シャーマン)は日常的に占いなどで生計を立てており、こうした占いの道具を持っているそうです。真矢が身につけていた女性トンパの衣装には、お守りの北斗七星をモチーフにした丸い刺繍が7個ついており、トンパタロットの裏面にも同じ模様がついています。カードは本来全部で33枚あるそうですが、29枚しか発見できず、さらにコピーをする際にヒューズが飛んでしまいコピー機が動かなくなったというエピソードも披露。
浅葉はこの時、トンパタロットが持つ不思議な力を確信し、残りの4枚にはとても恐ろしいことが書いてあるのではないかと思ったそうです。
トークの後は、真矢がトンパタロットによる占いを行い、来場者がトンパの世界を実際に体験。参加者はよく当たると大満足の様子でした。

トンパタロット占い


21日(日)にも、真矢茉子によるトンパタロット占いや、浅葉克己によるギャラリーツアーなどを予定しておりますので、ぜひ会場に足を運んでみて下さい。

8月23日、「祈りの痕跡。」展ディレクター浅葉克己によるワークショップ「浅葉克己のウキウキ トンパお習字教室」が行われました。

ワークショップの様子


トンパ文字は、中国西南地方麗江(レイコウ)の納西(ナシ)族のあいだで、約1,000年前から使われ続けている希少な象形文字です。お習字を始める前に、浅葉が麗江とさらに奥地のトンパ文字の本拠地である白地(ハクチ)村を訪れた際の映像を見たり、会場に展示されている浅葉作品の『トンパ教典「黒白戦争」』、実物のトンパ教典などを見て、文字への理解を深めます。納西族は自然と共に生きる世界観を持ち、特に木の文化を大切にしているそうです。今回のお題である、納西族に伝わる格言「根が丈夫なら木は倒れない。谷が深ければ泉は涸れない」はそういった世界観を表したもので、浅葉が大好きな格言のひとつだそうです。

展覧会を見た後は、いよいよお習字を始めます。まずは、筆遣いの練習として「永」の文字を書きます。この文字には、とめ、はね、はらい、楷書の全ての要素が入っていて、練習に最適だそうです。参加者の多くは久しぶりのお習字で、最初は思うように書けない人も、浅葉の指導でだんだんと滑らかな筆運びになっていきました。
次に、格言に使われているトンパ文字を一文字ずつ書いていきます。参加者に配られたお手本には、トンパ文字を美しく簡単に書けるようにと、浅葉がこの日のために考えた書き順が記されており、初めて書くのにきれいなトンパ文字が書けると好評でした。

最後は、掛け軸用の長い大きな半切紙に清書し、完成した格言を一同に並べます。ずらりと並んだ格言を前に「普段、長い時間集中して書道をする経験はなかなかないので、いい経験になったのではないか。これからも書くことを続けて欲しい。」と浅葉。参加者も実際に書くことによりトンパ文字への愛着がわき、文字の奥深さを感じたと話していました。

8月17日、「祈りの痕跡。」展ディレクターの浅葉克己によるスペシャルガイドツアーが行われました。ツアーは、居庸関のハタキで頭の埃を払うことから始まります。最初のコーナー「痕跡」では、棟梁であった神前弘が80歳から毎日つくり続けた『おじいちゃんの封筒』約700点や、ポスタービジュアルにもなっている大嶺實清の『家 〜風の記憶シリーズ〜』、木田安彦『不動曼陀羅』などに出会います。人に「怒った顔が不動明王に似ている」と言われたことから、余った絵具で自画像のつもりで描き始めたという木田の「増殖する絵画」は650点。作家は、1000点できたらまた1から描き始めようと考えているそうです。

次のコーナー「文字の世界」では、まず、浅葉が日常の出来事やアイデアスケッチを書き留めた『浅葉克己日記』を鑑賞し、7年分の日記から、浅葉の創造の軌跡を辿ることができます。杉浦康平『文字の靈力(れいりき)』では、「春」という文字を着る小袖や「福」という文字を飲む酒器など、一風変わった文字を楽しみながら、その豊かな広がりを感じられます。浅葉が吉村作治の協力で古代エジプト王の名前を重さ1トンの御影石に刻んだ『ヒエログリフ』、同じく楠田枝里子協力の『ナスカ・パルパの地上繪』などで、古代人のコミュニケーションに思いを巡らせた後は、「アジアは文字の宝庫」という浅葉が17年間中国の奥地、麗江に通い続けて研究したトンパ文字の新作『トンパ教典「黒白戦争」』が登場します。世界で唯一の「生きている象形文字」から、数千年間手書きでのみ伝えられてきた物語を読み解きます。また、今では失われたカードもあるという『トンパタロット』や、浅葉の貴重なコレクションである『トンパ教典』も、その秘められたエピソードが聞き逃せない展示品です。

この他にも、円空の「護法神」、長さ13mもある江戸時代の万能守「九重守」など、最後の展示品である服部一成『おみくじ』まで、見どころたっぷりの本展を、ディレクター自らによるユーモアあふれる解説でめぐるスペシャルガイドツアーに、参加者は大満足の様子でした。次回のスペシャルガイドツアーは、9月7日(日)を予定しています。ぜひ、ディレクター自身の解説を体験してみて下さい。

8月3日(日)、東京ミッドタウンホールにて、「知の編集者」松岡正剛と「地球文字探険家」浅葉克己によるスペシャルトーク「動く文字、定める文字」が開かれました。

浅葉克己×松岡正剛


「文字はいつも体の動きと対応している」という松岡は、文字の身体性についての考え方を披露し、「人は常に"跡"を残している。その"跡"を大事にして行くかどうかによって、文化は変わってくる」と語りました。また、「一本の線で地球を表していきたかった」という浅葉は、22歳の頃、1mmの中に10本の線を引くことに成功した秘話を公開し、「書いていると発見することがある」と、日課である書や制作日誌を紹介しました。
トークの後半では、中国の殷墟(インキョ)で発見された甲骨文字から、漢字の成立に大胆な解釈を加え、21世紀の文字の世界を切り開いたと言われる漢字学者の故白川静博士のビデオを鑑賞。300人を超える来場者は、「文字とは命がけのもの」という漢字の源流に思いを馳せました。松岡と浅葉がこれからのデザインについて議論し、手旗信号で締めくくられたトークは、大きな拍手につつまれました。

また、トークの後には、「祈りの痕跡。」展 特別関連冊子「魂跡抄(コンセキショウ)」の発売記念サイン会が行われました。松岡と浅葉がディレクションし、出展作家をはじめとした古今東西の人びとによる多様な痕跡をあつめた「魂跡抄(コンセキショウ)」は、限定1000部の発行です。ぜひ会場で、手にとってご覧ください。

魂跡抄 魂跡抄

7月20日、現在開催中の展覧会「祈りの痕跡。」のオープニングリレートーク、「『祈りの痕跡。』プロダクションノート」が開催されました。このトークは、ディレクターの浅葉克己が参加作家の大嶺實清、服部一成、石川直樹とリレー形式で展覧会開催までの足跡を辿るというもの。まずは浅葉克己が、「誰が最初にあと痕をつけたのか」という問いかけが本展の出発点になったことを披露し、展覧会開催までの濃密な準備期間の秘話を公開しました。

浅葉は、沖縄で活動する陶作家、大嶺實清のアトリエを訪ねた際、家のかたちをした小さな陶の数々に興味を引かれました。これらは、「土は原土が好き」という大嶺が、日々の制作の最後に「余った土をひょい、ひょいと、ワンタッチでぽんっと置いて、へらでぱっぱっとしただけのかたち」。沖縄に古来存在するという、生と死の中間にある「祈り」の世界のかたちを次代に伝えていきたいという、大嶺の願いをあらわした作品です。

浅葉克己×大嶺實清


グラフィックデザイナーの服部一成は、オフセット印刷の4原色(CMYK)を用いて新たな表現に取り組んだ『視覚伝達』の延長線の新作を、という浅葉克己のお題に、「吉や凶といった文字に自分の運命をゆだねるという、僕らの生活に遊びとして入り込んでいる『おみくじ』」で応じました。照明デザインの藤本晴美とともに、照明の色が変わることで作品の色調が変化するという、グラフィック史上まれに見る展示を完成させました。さて、この展覧会は、吉と出るか、凶とでるか。

浅葉克己×服部一成


冒険家として名高い石川直樹と「地球文字探険家」浅葉克己を結びつけたのは、石川による写真集『NEW DIMENSION』。この写真集から、「これこそ祈りの痕跡」という思いで、2点の写真作品を出展しました。パタゴニアの「NEGATIVE HANDS」とよばれる壁画は、今から千年以上も前に、人びとが洞窟の壁面に手を押しつけ、壁にむかって顔料を口で吹き付けてできた「手の痕跡」です。石川は、そこには「壁の向こう側の世界への祈りがあったのではないか」と考え、洞窟から見た遠い湖の写真とともに展示しました。

浅葉克己×石川直樹


文字通り、浅葉克己が脚で探した地球発アート。ぜひ会場でお楽しみください。

「地球文字探検家」浅葉克己ディレクションによる「祈りの痕跡。」展が、本日より開催されています。
本展では、"文字とは、「伝えたい」という祈りにも似た、人の強い思いの究極の形である"というアートディレクター、浅葉克己の考え方を通して、地球に残されたさまざまな表現を紹介しています。
文字通り、浅葉克己が脚で探した「祈りの痕跡」の数々をお楽しみ下さい。

また、明日午後2時より、オープニング・リレートーク「『祈りの痕跡。』プロダクションノート」が行われます。本展ディレクターの浅葉克己が参加作家の大嶺實清、服部一成、石川直樹とリレー形式で語る、展覧会開催までの秘められた足跡。 展覧会が二重、三重にも楽しめる、個性豊かなリレートークに、ぜひご参加ください。

展覧会ポスター

7月19日から開催の次回展覧会「祈りの痕跡。」展プレイベントとして、ディレクター浅葉克己によるトーク「地球文字探険!」が28日に行われました。地球文字探険家として世界中の文字の謎を追う旅をしている浅葉さんが辿り着いた文字の数々と、それらの文字たちをモチーフにした浅葉さんの作品を紹介しました。

浅葉克己


浅葉さんが文字の世界に引き込まれたのは19歳の時、「文字は実際に書かないとだめ」という書の先生の言葉に感銘を受け、「一日一圖」を目標に、筆を取って書を書くことを毎日の日課にしているそうです。「祈りの痕跡。」展ロゴや浅葉さんの数々の作品に登場する「浅葉文字」は、コンピューターのグラフィックに手書きの要素を加えて完成し、実際に書くことによって見る人により「伝えたい」という気持ちが届くという浅葉さんの思いからつくられています。
展覧会には、そうした人に何かを「伝えたい」という祈りにも似た強い気持ちが込められた痕跡の数々が出展されます。浅葉さんの痕跡である、10年分の日記も必見です。
最後は手旗信号パフォーマンスを披露し、会場は大きな拍手で包まれました。

21_21 DESIGN SIGHTでは、今週末もさまざまなイベントが開催されます。
28日(土)は、次回展「祈りの痕跡。」のプレイベントに、展覧会ディレクターの浅葉克己が登場します。
また同日夕刻には、先日行われた1周年記念講演会「デザイントーク」の特別上映会を開催。
29日(日)は、作曲家・音響デザイナーの畑中正人が、「21世紀人」展クリエイターズトークの最終回を飾ります。
各イベントは全て参加無料です。この機会に、ぜひ21_21 DESIGN SIGHTにお越しください。

「XXIc.-21世紀人」展イベント詳細
「祈りの痕跡。」展イベント詳細

20日、国立新美術館講堂において21_21 DESIGN SIGHTのオープン1周年を記念した『デザイン・トーク』が開催されました。三宅一生、佐藤 卓、深澤直人の3ディレクターによるトークの前には、スペシャル企画として、イサム・ノグチ庭園美術館学芸顧問の新見 隆にイサム・ノグチの人と作品についても簡単なレクチャーをしていただきました。

新見隆


約20分という短い時間ながら、イサム・ノグチが広い意味で20世紀のモダニズムを越えようとした芸術家であり、西洋近代彫刻の代表ともいうべきブランクーシに師事しながらも、みずからは東洋的な思想を彫刻表現に取り入れた新たな造形を生み出したことなど、スライドを交えた解説はとても興味深いものでした。

続いて行われたデザイン・トークはアソシエイトディレクター川上典李子を司会に、開館までの経緯やこの1年の活動について、ディレクターたちがそれぞれコメントを発表。これからの21_21 DESIGN SIGHTはどうなっていくべきかなど刺激的な意見も飛び出しました。

川上典李子、佐藤 卓
三宅一生、深澤直人


トークの後は次回展『祈りの痕跡。』展のディレクターであるアートディレクターの浅葉克已が登場、展覧会の内容について紹介しました。手旗信号などを交えたパフォーマンスで会場は大いに盛り上がりました。

なお、この「デザイン・トーク」の模様を記録した映像を1時間に再編集し、上映会を開催することが決定しました。来場いただけなかった方、ぜひこの機会をお見逃しなく! 
(詳細は関連イベント情報をご覧ください)

イサム・ノグチ・スペシャル 一覧リスト へ