2013年12月 (13)

「私の一品」Vol.23 宮島達男(現代美術家)

企画展「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」は、来場者の皆様をデザインミュージアムの"入口"へと誘う展覧会です。
ウェブサイト上の本連載では、会場を離れ、各界で活躍する方々が未来のデザインミュージアムにぜひアーカイブしたいと考える"個人的な"一品をコメントとともに紹介します。
展覧会と連載を通じて、デザインの広がりと奥行きを感じてください。

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川上典李子のデザインコラム Vol.2
東京国立近代美術館

「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」企画協力でジャーナリストの川上典李子によるデザインコラム。本展のために行ったリサーチから、各国のデザインミュージアムの現状や日本のデザインミュージアムの未来像を、連載でお伝えします。

前回のコラムでは、海外のデザインミュージアムの例をとりあげました。今回は、日本におけるデザインに関するコレクションの様子を見ていきましょう。まずは、東京国立近代美術館をご紹介します。工芸課主任研究員の木田拓也氏にお話をうかがいました。

──まずは東京国立近代美術館工芸課の収蔵品の概要をお教えいただけますか。収集の視点についても、ぜひお教えください。

木田氏:工芸館の収蔵作品としては、「工芸」は2,365点、「デザイン」は923点になります。
工芸に関しては、当館では、基本的には近代の個人作家が制作した作品をコレクションの対象としています。陶磁、漆工、金工、染織、ガラスなどで、人間国宝の認定を受けた工芸家による作品が重要な柱になっています。工芸に関しては、日本の近代工芸の歴史的な流れをたどることができる、名品ぞろいの充実したコレクションになっていると自負していますが、デザインに関しては、いまだ体系化を意識するような段階には至っていません。デザインに関しても、基本的には、誰がデザインしたかという視点で、デザイナーが特定できるものがほとんどです。

北大路魯山人『金彩雲錦鉢』1951年、東京国立近代美術館蔵

──デザイン分野の収蔵品は、大きく二つに分類したうえで行われていますね。

木田氏:はい、「デザイン」としての収蔵品は、分類上は「工業デザイン」と「グラフィックデザイン」としています。「グラフィックデザイン」はポスターがほとんどです。「工業デザイン」というと領域としてはかなり幅広くなりますが、内容的には、クリストファー・ドレッサーのテーブルウエアや、アール・デコの家具、戦後の森 正洋先生のテーブルウエアなどのように、「工芸」と隣接しているものがほとんどとなっています。

ピエール・シャロー『書斎机、椅子』1928年頃、東京国立近代美術館蔵

──所蔵作品決定はどのようになされるのでしょう。また、近年新たに追加された所蔵作品がありましたら、お教えください。

木田氏:作品の収蔵にあたっては、他の作品も同じですが、購入するにしろ、寄贈を受けるにしろ、毎年1回開催される外部の有識者で構成される委員会を経て、正式にコレクションに加えられます。近年コレクションに加わった重要作品としては、バウハウスのマルセル・ブロイヤーの『肘掛け椅子』(1922-25年頃)、マリアンネ・ブラントの『ティーセット』(1925年頃)があります。

直近では、原 弘(1903-1986)先生のポスターがコレクションに加わりました。原 弘先生には、1952年の東京国立近代美術館開館以来、20年以上にわたって当館の展覧会のポスターをデザインしていただいていました。「コレクション」とすることもないまま、内部資料として、館内にただ保管してあったのですが、2012年、当館の開館60周年を機に、「原弘と東京国立近代美術館」展を開催してこれまで当館のために手掛けていただいたポスターなどを展示しました。その後、ポスターや印刷原稿など約200点を正式に「コレクション」として加えました。

──グラフィック関係の収蔵作品では特定の制作者を軸として多数の作品が集められている様子がうかがえます。工業製品に関しては今後、どのような計画をたてていらっしゃいますか。

木田氏:確かにグラフィックデザインに関して、1990年代中ごろから2000年頃までは、作品収集を前提に回顧展を開催していました。日本のグラフィックデザインに関して、杉浦非水、亀倉雄策、福田繁雄、田中一光、永井一正各先生のポスターがまとまって収蔵されているのはそうした経緯があったからです。その一方で、プロダクトデザインに関して意識的に収集を開始したのは2000年ごろからと記憶しますが、やはり展覧会を開催した後、その出品作の一部をコレクションに加えるというかたちをとっており、森 正洋、小松 誠先生らの作品が加わりました。

アルフォンス・ミュシャ『サラ・ベルナール アメリカン・ツアー』1895年、東京国立近代美術館蔵

──貴館では1920年代〜1930年代の作者不明のプロダクトも収蔵されていますが、同様に作者不明の品々、またアノニマスデザインを収蔵される可能性はありますか。海外のデザインミュージアム関係者と話をしていると、デザインの起源としてのアノニマスデザインに興味を抱く方がおり、私もそうした方々から日本のものづくりに関する質問を受ける機会が増えました。

木田氏:そこがやはり当館では悩むところです。確かに、アール・デコ時代のコンパクトやライターなど、「作者不詳」のままコレクションになっていますが、ひじょうにイレギュラーなケースです。工芸作品の場合、原則として個人作家のものにこだわって収集してきているので、デザイン分野においても、アノニマスデザインなど作者不明のものは、基本的にはコレクションにはしにくいと思います。

──展覧会と収蔵作品の関係はどのようになっているのでしょうか。

木田氏:東京国立近代美術館では1995年から、小規模ながらデザインの企画展を毎年開催しています。当初は京橋のフィルムセンターの展示室で、2002年からは本館(竹橋)の2階のギャラリー4で行っています。デザイン作品をベースにした所蔵作品展としては、例えば、「アール・デコ展」などのようにある時代に焦点を当てたもの、あるいは花や動物などといったようなモチーフをテーマに取り上げる場合などは、工芸とデザインの区別なく展示する場合があります。

東京国立近代美術館の展覧会から。「あかり:イサム・ノグチがつくった光の彫刻」展(2003年)
東京国立近代美術館の展覧会から。「柳宗理:生活のなかのデザイン」展(2007年)

──今後、新たに収集を行う予定の分野、あるいは特に収集に力を入れていく分野がありましたら、お聞かせください。

木田氏:やはりこれまでと同じように、デザインに関する展覧会を開催し、その展覧会から収蔵品に加えるというかたちで、少しづつコレクションを膨らませていくというのが、基本的な路線になると思います。当館の美術作品や工芸作品のこれまでの収集方針からいって、数をむやみに増やすことよりも、デザイン史というものを描き出そうとするときに欠かせないデザイン作品、しいて言えば、それがデザインの「名作」ということになるかと思いますが、それをコレクションに加え、それを軸に内容を膨らませていくというのが基本姿勢になると思います。

──最後に、日本のデザインミュージアムについておうかがいいたします。
日本の美術、工芸、デザインの研究や収集・展示に関わる立場で、「日本のデザインミュージアムの実現」に向けて今後、どのような点や考え方が重要になると感じていらっしゃいますか。

木田氏:近年、「デザインミュージアム」構想がさかんに議論されていますが、個人的には、「デザインミュージアム」はぜひ実現してほしいと思います。というのも、デザイン作品や資料を貪欲に受け入れる受け皿がこの日本には必要だと思うからです。「美術館」という組織のなかで働く一人として痛感するのは、美術館というのは、どうしても「名品主義」のようなところがあり、デザイン作品のように複数あるものはどうしても軽視してしまうということです。いつでもその気になればコレクションに加えられるという気がするので、後回しになってしまうのです。それと「作品」にこだわるあまり、その周辺資料などを軽視しがちだということがあります。

デザインに関しては、完成した「作品」そのものももちろん大切ですが、デザイナー自身の思考の痕跡、悩みやひらめき、霊感の源泉を実証的に示すものというのは、じつは「作品」となる前の下図やマケット類など周辺資料に含まれているのであり、そうしたものにこそ、資料的に高い価値があるといえます。デザインミュージアムというのは、そういうものをとりこぼすことなく、貪欲に収集し、整理し、公開する施設であってほしいと思います。

──従来の美術館とはまた異なる役割も必要となってくるのではないでしょうか。

木田氏:「デザインミュージアム」が実現できるとすれば、うやうやしく作品を鑑賞する「美術館」とはやや性格の違うミュージアムであってほしいと思います。デザイナーを「天才」として権威づけるような場所ではなく、デザイナーを取り巻くさまざまな方々──スタッフはもちろん、アイデアを実現する生産現場の方々、広告宣伝に関わる方々などさまざまな職業の方々──が創意工夫しながらデザイナーのアイデアを実現するために知恵を絞っている、そうした現場の臨場感やその記憶をとどめる周辺資料も含めて収集展示するような、そんなミュージアムであって欲しいと思います。おそらくそれは生き生きとしたアーカイブに近いような性格のものではないか思います。

また、「デザインミュージアム」は、たんなる産業博物館のような「モノの墓場」になってもらいたくないと思います。そのミュージアムを訪れる誰もがそうした先達の経験や叡智に触れ、それを糧に、新しい日本のものづくりの未来を切り拓いていこうとする前向きな気持ちになれるような、そんなエネルギーの源泉として機能するようなミュージアムであってほしいと思います。さらに欲を言えば、これからの人とモノとの関係というものを考える場でもあってほしいと思います。

──東京国立近代美術館の収蔵作品の考え方から、日本におけるデザインミュージアムの可能性まで、貴重なお話をありがとうございました。

文:川上典李子

>>川上典李子のデザインコラム Vol.1

*木田拓也氏も登壇するトークを開催します

2014年1月11日(土)14:00 - 16:00
他の登壇者は、鄭 國鉉氏(ソウルデザイン財団 東大門デザインプラザ 総監督)、坂本忠規氏(公益財団法人 竹中大工道具館 主任研究員)です。
>>トーク「現場からみる、デザインミュージアムの可能性」

「私の一品」Vol.22 平野太呂(フォトグラファー)

企画展「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」は、来場者の皆様をデザインミュージアムの"入口"へと誘う展覧会です。
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「私の一品」Vol.21 皆川 明(ミナ ペルホネン デザイナー)

企画展「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」は、来場者の皆様をデザインミュージアムの"入口"へと誘う展覧会です。
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クリスマス・スペシャル[夜間無料の3日間!]

クリスマスを含めた3日間、17:00以降にご入場のお客様は特別にどなたでも入場料無料になります。華やかな東京ミッドタウン・ガーデンのイルミネーションとあわせて、21_21 DESIGN SIGHTに凝縮されたデザインの世界を存分にお楽しみください。

期間:2013年12月23日(月・祝)- 12月25日(水)<3 日間>
開館時間 11:00 - 20:00のうち、17:00以降の入場が無料(入場は19:30まで)

*通常は火曜休館のところ、12月24日(火)は特別開館いたします
*12月20日(金)- 25日(水)、東京ミッドタウン館内ではイルミネーション混雑期間の一方通行規制が行われ、16:00以降ガレリア(商業施設)からミッドタウン・ガーデンへの通り抜けはできませんのでご注意ください。21_21 DESIGN SIGHTへは、外苑東通りに面している側のミッドタウン・ガーデンからご入場ください
詳細は東京ミッドタウンのウェブサイトをご覧ください
>>東京ミッドタウン ウェブサイト

川上典李子のデザインコラム Vol.1
各国デザインミュージアムのいま 後編

「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」企画協力でジャーナリストの川上典李子によるデザインコラム。本展のために行ったリサーチから、各国のデザインミュージアムの現状や日本のデザインミュージアムの未来像を、連載でお伝えします。

>>各国デザインミュージアムのいま 前編へ

社会の変化をふまえたミュージアムであること

各館関係者のコメントから、現代のデザインミュージアムに関する重要な点がいくつか見えてきました。社会の変化にどう向き合うのかということです。ひとつが、オンラインなどのデジタル発信。前編で紹介したV&Aのアルモンド氏はこう述べます。

「V&Aのコレクションをデジタル形式でも体験できるようになっています。『創造性を刺激する』というV&A の目的を、我々が関わる全ての活動において、館内とオンラインの双方を用いてはっきり示していくことが大切だと考えています」

パリ、ポンピドゥー・センター国立近代美術館のギヨーム氏の言葉も引用しておきます。「デジタルツールの登場によって今日の学習スタイルも変化しています。そのなかでミュージアムは、知識と経験をいかに構築するのかという課題に直面しています。デザインミュージアムは創造性の拠点。国内外の文化の動向や、デジタルがもたらす変化との相乗効果を視野に入れるべきだと考えます」

「現実そして仮想の環境も絶えず変容します。 状況を考慮し、増えつつある非物質的な作品にも向きあうことが、博物館学・美術館学、ミュージアムの視覚化において、求められています。もうひとつの課題は、デザイナーの役割を改めて考察することです」

© Centre Pompidou, MNAM-CCI /Dist. RMN-GP Photo: Georges Meguerditchian
© Centre Pompidou, MNAM-CCI, Service des collections Photo: Adam Rzepka

2014年の新たな動きーニューヨーク、ソウル

デザインミュージアムに関する2014年の注目すべき動きにも触れておきましょう。

© Cooper-Hewitt Press Images, Photo: Dennis Cowley.

1897年に開館し、1967年以来はスミソニアン財団の一部となっているニューヨークのクーパー・ヒューイット国立デザインミュージアム。現在は改装中で、2014年秋に展示空間を従来の6割ほど拡大して再オープンします。

教育プログラムに力を入れている同館の活動は改装中も積極的に継続されており、教育プログラムなどの催しは、ニューヨークではハーレムのクーパー・ヒューイット・デザインセンターで行われています。さらに「デザイン・イン・ザ・クラスルーム・プログラム」をニューヨークの他、ニューオリンズ、サン・アントニオ、ワシントンDC などの各地で行われています。海外でも開催されています。

© Cooper-Hewitt, National Design Museum, Smithsonian Institution

さて、来春の話題は、来年3月にソウルに誕生するデザインミュージアムです。その名は東大門(トンデムン)デザイン・プラザ(DDP)。ソウルデザイン財団によって運営されます。ザハ・ハディッドが設計した建築施設もすでに世界の話題を集めています。同館の広報担当者はこう述べます。

「地下3階、地上4階の建物内では5つの空間に15の機能を備えています。デザインミュージアムのほか、アートホール、ビジネスセンター、公園などです。 DDPには際立った特徴がいくつもありますが、なかでも特徴的なのは建物を覆う約45,000枚のカーブしたアルミパネルでしょう。きわめて高い技術力が集結されていることを物語っています」

「DDPの目的はソウルのクリエイティブ産業を活性化し、グローバルなネットワークを構築することです。また、現在の文化的な資産に未来的な要素をもり込んでいきたいと考えています。それらを通じて文化や創造性の中心地として機能し、来館者に韓国のダイナミズムやアジアの創造性を見てもらうことができるものと考えています」

© The Dongdaemun Design Plaza

館長に就任する鄭 國鉉(チョン・クッキョン)氏はサムスン電子デザイン経営センター副社長に所属していた人物。「BeSeT(ベセット)と呼ばれる北京、ソウル、東京の施設の連携など、アジアのデザインミュージアムの連携を図っていきたい」と抱負を語ってくれました。鄭氏は2014年1月11日(土)に21_21 DESIGN SIGHT館内で開催予定の関連プログラム「トーク『現場からみる、デザインミュージアムの可能性』」に出演します。より具体的な話を聞ける機会となります。

© The Dongdaemun Design Plaza

アーカイブの方針や運営の仕方、そして何をどう伝えていくのか。できるだけ幅広く歴史を網羅するコレクションを誇る施設があれば、対象を明快にコレクションと研究を進める施設もあるなど、各館それぞれに特色があります。収集・保存、調査・研究、展示・紹介、教育などミュージアムに求められる複数の役割は共通していますが、各々に独自の試みを続けていることがうかがえます。

では、日本における総合的なデザインミュージアムを考える際、それも21世紀に誕生するデザインミュージアムとして、どのような可能性があるのでしょうか。「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」は、日本のデザインの背景に目を向けるところから、そのことを考える場となっています。(Vol.2へ続く)

文:川上典李子

川上典李子のデザインコラム Vol.1
各国デザインミュージアムのいま 前編

「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」企画協力でジャーナリストの川上典李子によるデザインコラム。本展のために行ったリサーチから、各国のデザインミュージアムの現状や日本のデザインミュージアムの未来像を、連載でお伝えします。

デザインを感じることができると同時に、生活との関係についても考える機会をつくる施設。未来に伝えるべきものを収集、アーカイブし、それら一つひとつの意味に触れる場となると同時に、今後の生活、創造活動に結びつける活動がなされる場......世界には様々なデザインミュージアムがあります。

デザインミュージアムとして計画された施設はもちろん、工芸館として長く活動してきた施設がデザインミュージアムと名を新たにしたものもあります。ニューヨーク近代美術館やポンピドゥー・センター国立近代美術館のように、デザイン部門の収蔵、研究、展示が充実した近代美術館も忘れてはなりません。

日本における総合的なデザインミュージアムの実現にむけて考える本展にあたり、まずは各国のデザインミュージアムの現状に目を向けてみたいと思います。今日までの活動、それらの活動をふまえて感じている課題については本展会場でも紹介していますが、今回のコラムでは、その取材時にうかがったことばを抜粋しながら、お伝えしましょう。

ヴィクトリア・アンド・アルバートミュージアム

日常の品々を収集し紹介するデザインミュージアムとして、世界でも最も歴史のある施設は、ヴィクトリア・アンド・アルバートミュージアム(V&A)。1851年にロンドンで開催された第一回万国博覧会のために収集された品々と国立デザイン学校のコレクションを軸として翌1852年、デザインを学ぶ学生を対象とする産業博物館として開館、さらに1957年、広く市民を対象とする装飾美術館として現在の場所に開館しました。

The John Madejski Garden © Victoria and Albert Museum

現在はイギリスにおける文化・メディア・スポーツ省(DCMS)から財政支援を受けた政府外公共機関(NDPB)として、「2011年慈善法」に基づく登録除外チャリティの位置づけとなっています。すなわち政府と対等な関係で、英国首相より任命された評議会によって管理されています。

収蔵品の多さを誇るV&A。2013年3月31日時点での総数は200万点を超える2,241,718点。内訳はオブジェや芸術作品1,182,876点のほか、書籍および定期刊行物は1,058,031点、手稿・写本、書簡などの文書が811点です。これらのなかで常設展示にふさわしい「展示品コレクション(Display Collections)」は226,747点。「参考資料コレクション(Reference Collections)」と呼ばれる書物、絵画、印刷物、写真および文書は2,014,971点。後者は劣化を防ぐため閲覧は館内究室内に限り許可され、展示も短期間に限ってなされています。

The 20th Century gallery © Victoria and Albert Museum

膨大なコレクションを背景とする活動で目ざしているのは、「来館する全ての人々の創造性を刺激すること」とV&Aのサラ・アルモンド氏。「これこそが私たちが行うあらゆる活動を統合する最も重要なテーマです。また、他のミュージアムでも最大の課題となっているのは、幅広い来館者の関心をひきつけ、人々が展示内容を理解できるためにどう手助けをするか、ではないでしょうか。ミュージアムを後にする際、来館者は自身が力づけられたと感じるとともに、暮らしのなかでデザインが果たす役割を理解できていなければなりません」

「ミュージアムは自分自身や世界に対して異なる見方を与えるきっかけとなります。優れたミュージアムであれば、人々に『問う力』を、授けることでしょう」とアルモンド氏。

ヴィトラ・デザイン・ミュージアム

企業が母体となってアーカイブを行い、意欲的な企画も実現している好例として、ドイツのヴィトラ・デザイン・ミュージアムを挙げておきます。1989年、フランク・ゲーリーの建築設計で誕生。2014年には開館25周年を記念するコレクションの大規模展覧会も予定されています。現在のコレクション数は家具、プロダクト、照明器具などの約7,000点。デザインミュージアムの役割をどうとらえているのかについて、同館のマテオ・クライス氏にうかがいました。

© Vitra Design Museum, photo: Julien Lanoo

「私たちのミュージアムでは、デザインを今日のありのままの姿として認識しています。すなわち、アートと自然科学とテクノロジーの間を橋渡しするインターフェイスという立場でさまざまな問いかけを発する学際的な領域であると考えています。デザインの定義は根本的に変化してきており、工業デザインに限らず、芸術的な営みや職人の仕事などの広い分野も含むようになってきています。我々の役割は、デザインの多彩な様相を探求して幅広い人々に伝えるリサーチャーで橋渡し役、まとめ役、研究者、提唱者であると考えています」

私立で運営されている施設ならではの課題もあります。重要なのは財政の安定を維持すること。「公平性を損なうことなく、あらゆる活動において最高の基準を確実に満たしながら、パートナーや共同プロデューサーなどを通して望ましい資金調達も探っています」

「デザインミュージアムにはデザイン活動を文化領域のひとつとして確立するという役割があります。私たちの最大の関心事は、デザインミュージアムという仕事を実践しながら、その新しい領域の足跡を残す最前線に立つことなのです。つまりリスクを負ってでも新たな道を開拓し、 世界の優れた美術館に巡回すべき展覧会を、今後も長年に渡って生み出し続ける成功例となることです」

© Vitra Design Museum, Juergen Hans

「デザインとはグローバルな現象であり、デザインミュージアムにもグローバルな視点が必要」とクライス氏。「グローバル・ネットワークをふまえた世界規模の計画を掲げることが大切です。共同リサーチを行える体制を構築し、国際的な巡回展とノウハウを共有すれば、新たなデザインミュージアムの計画も成功することでしょう」

「と同時に、デザインミュージアムが日本に誕生すれば、柳宗理氏や倉俣史朗氏などから今日に至るデザイナーの業績や全仕事、デザインに注力する日本企業の活動をとり上げる、またとない機会が生まれます。日本のデザインミュージアムのアジェンダには、日本のデザインを保護して守る任務とともに、日本のデザインの歩みを日本はもちろん国際的な文脈の中で整理されることが大切になってくると思います」(後編へ続く)

文:川上典李子

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「私の一品」Vol.20 伊東豊雄(建築家)

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制作:YAMAGIWA

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「私の一品」Vol.19 岡崎智弘(アートディレクター)

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「私の一品」Vol.18 本城直季(写真家)

企画展「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」は、来場者の皆様をデザインミュージアムの"入口"へと誘う展覧会です。
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「私の一品」Vol.17 小池一子(クリエイティブディレクター)

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「FLYING BODIES」テアトル新宿でレイトショー追加上映が決定

三宅一生が企画・コスチュームデザインを行なった「青森大学男子新体操部」公演(2013年7月18日/国立代々木競技場第二体育館で開催)の中野裕之監督ノンフィクションフィルム。好評につき、テアトル新宿でレイトショー追加上映が決定しました。
このフィルムは、中野裕之監督のカメラが、公演の準備段階から本番当日までの3ヶ月にわたる青森大学新体操部の挑戦の日々を捉えた作品です。たった一度だけの公演に向けて、選手たち、そしてコーチ陣が、何を考え、何を感じ、何に悩みながら日々練習に取り組んで来たか、プロジェクトの舞台裏が中野監督の目を通して描かれています。ぜひご覧ください。

ワールドプレミア・スクリーニング

日時:2013年12月13日(金)まで 12:20-13:50
   2013年12月14日(土)- 20日(金) 12:20-13:50、21:15-22:45
場所:テアトル新宿

>>公式ウェブサイト

「私の一品」Vol.16 Mark Dytham(デザイナー)

企画展「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」は、来場者の皆様をデザインミュージアムの"入口"へと誘う展覧会です。
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イギリス人として、私はいつだって「Kit Kat」を楽しんでいます!「Kit Kat」は1918年にイングランド北部のヨークのロウントゥリーズで生まれました。イギリスで私が子どもだった頃からいつでも棚に置いてある絶対に不変のものなんです。私がそれを日本で発見した時の喜びを想像してください!!そしてその喜びは数ヶ月ごとに発表される新しいフレーバーとともに続いています。
私は「Kit Kat」の箱を収集していて、今ではワサビからアップルビネガーまで、約200種類が集まりました。そのうちのほとんどは日本でしか手に入らないもので、そのデザイン、パッケージ、グラフィックにはそれぞれのフレーバーの特徴が反映されています。
この新しさをめぐる冒険―めくるめく「新発売」、細部へのこだわり、そして随一の陽気な発明は、東洋と西洋の完璧な融合と言えるでしょう。

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