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「倉俣史朗とエットレ・ソットサス」

contents

倉俣史朗とエットレ・ソットサス

表現は異なっていても、ともに機能性や利便性を超えて生活に喜びと驚きをもたらすデザインを求めた倉俣史朗とイタリアデザイン界の巨匠、エットレ・ソットサスの交流がテーマ。'80年代以降の透明感あふれる倉俣の作品と、ソットサス最晩年のドローイングをもとに制作されたアートピース「カチナ」を展示した。
会期 2011年2月2日(水) - 7月18日(月)

メッセージ

僕らが活動を始めた1960年代初頭は、日本も敗戦から立ち直り経済復興の真っ只中。優秀なデザイナーがたくさんいましたが、中でも倉俣さんはヒーロー的な存在でした。例えば、彼の素材の使い方。どんな素材も彼の手にかかると、見たこともない魅力的なデザインに生まれ変わっている。人間的にも、仕事の上でも僕たちは皆、倉俣さんを心から尊敬していたのです。日本のデザインはギュッと詰まって無駄がなく合理的ですが、倉俣作品には不思議な空気感が満ちていて、僕らには表現できない世界なのです。彼と出会わなければ、僕の仕事も違っていただろうと思います。
ソットサスに最初に会ったのは、1960年代後半、パリの装飾美術館で開催されていたオリベッティの展覧会だったと思います。彼は建築家、デザイナー、詩人、写真家、まさに天賦の芸術家だった。同時に「メンフィス」のようなデザイン運動を仕掛け、雑誌『TERAZZO』を監修するような編集能力もあった。けれども、人は頭で行動するが、もっとも大切なのはフィーリング、タッチだと語ってくれました。
芳香を放ち続ける倉俣さんの作品と、彼が尊敬し影響を受けたソットサスのデザインを、次の時代をつくる人々にぜひ伝えたい。そんな思いで、「倉俣史朗とエットレ・ソットサス」展を企画しました。

三宅一生

ディレクターズ・メッセージ

はじめての打ち合わせで、三宅一生さんから本展について3つのメッセージをいただいたように感じました。「Not Period」、つまり単なる回顧展にはしたくない。デザインにおける夢と愛の大切さを発信したい。特に二人を知らない若者たちに......。
現在は二人が活躍した時代とは大きく変わりました。特に二人の交流が深まった1980年代の日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を体現する経済的絶頂期を謳歌し、その勢いを背景に日本人がようやく生活の質やデザインに目を向けた時代だったのです。そして30年がたち、ITやインターネットの普及、グローバリズムや市場主義への反省など、再び「デザインとは何か?」が問われています。
本展では、二人の作品とともに生前の映像や言葉、スライドショーを通して偉大なクリエイターの姿とデザインをありのままに表現いたしました。皆さまには二人による夢と愛に満ちた世界を体感し、デザイン再考の場になればと考えます。

会期延長にあたり

この度は、東日本大震災でお亡くなりになられた方々、被災された方々におかれましては、心よりお悔みとお見舞いを申し上げます。そして、一日も早く、生活や仕事の環境の復興が果たせるよう、私たち一人ひとりができることを実践してまいりたいと思います。
そんな中、「倉俣史朗とエットレ・ソットサス」展の会期が延長されることになりました。震災の影響は日本社会全体におよび、物質的側面だけでなく、精神にも大きな影を落としています。このような時期だからこそ、第二次世界大戦による荒廃を目の当たりにした倉俣史朗とエットレ・ソットスが、その人生で辿りついた「夢と愛に満ちたデザイン」に触れていただきたいと考えます。美しいアートやデザインは、人が生きていくうえで欠かすことのできない「心の栄養」なのではないでしょうか。延長にあたり、まさに現在のモバイル機器を予感させるソットサスの代表作「バレンタイン」、80年代に向けて倉俣デザインの変化を予兆する「ソラリス」を展示いたします。皆さまのお越しを心よりお待ちしております。

関 康子

開催概要

主催
21_21 DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団
後援
文化庁、経済産業省、港区、財団法人 日本産業デザイン振興会、社団法人 日本建築学会、社団法人 日本商環境設計家協会、社団法人 日本インダストリアルデザイナー協会、社団法人 日本建築家協会、社団法人 日本インテリアデザイナー協会
特別協賛
三井不動産株式会社
協賛
コクヨ株式会社、コクヨファニチャー株式会社、トステム株式会社
協力
キヤノンマーケティングジャパン株式会社、株式会社イシマル、株式会社クラマタデザイン事務所、マックスレイ株式会社、株式会社三保谷硝子店、三芝硝材株式会社、スタジオ・エットレ・ソットサス、トキ・コーポレーション株式会社、ヤマハ株式会社
展覧会ディレクター
関 康子
企画
三宅一生
企画協力
倉俣美恵子、バルバラ・ラディーチェ・ソットサス、石丸隆夫、三保谷友彦、藤塚光政
会場構成
近藤康夫、五十嵐久枝
グラフィックデザイン
八木 保
コピーライティング
日暮真三

展覧会ツール

「これ、どこにあるのかな? さがしてみよう!」

本展ディレクターの関 康子構成のもと、会場で楽しめるこども向け展覧会ツールをつくりました。
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