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「雑貨展」

contents

ディレクター

韓国ソウル特別市・広蔵市場(クァンジャンシジャン)の荒物屋にて

ディレクターズ・メッセージ

なぜ「雑貨」がこんなに魅力的なのだろう。なぜ雑貨店がこんなに私たちを惹きつけるのだろう。もうこれは「新しいデザイン」という魅力を超えているかもしれない。生活に溶け込んだ親しみやすさや心地、細やかな配慮の上に成り立ったささやかな幸福感のシンボルのように人の心に響いているのかもしれない。実際の生活に即役立つかどうかを別にして人はその魅力に引き寄せられ、そのものを自身に取り込みたくなる。高価な骨董品ではない日用品である。

しかしその収集することへの渇望はそれぞれ似通っている。その人の生活感を放っている。そして生活のセンスを見たがっている。売る人も買う人も、選ぶ視線と感度、そこから生まれる生活の味を共有したがっている。デザインやアートや骨董、民藝や工芸とは異なる、魅力を放つもう一つのカテゴリーに「雑貨」というものが登場したように思う。これは常に少し前の時を振り返るノスタルジックな心持ちにも繋がっている。いつも「あれはよかった」という安堵の感情を揺さぶるものではないか。人はモノに疲れているし流れの速い時の移り変わりに戸惑っている。

だから「雑貨」は心を落ち着かせてくれる。この魅力を放つモノ、「雑貨」という美学に焦点を当て、共にその魅力を語り合ってみることがこの展覧会の目的である。

深澤直人

プロフィール

深澤直人 Naoto Fukasawa

プロダクトデザイナー。2003年 NAOTO FUKASAWA DESIGN 設立。
卓越した造形美とシンプルに徹したデザインで、イタリア、フランス、ドイツ、スイス、北欧、アジアなど世界を代表するブランドのデザインや、国内の大手メーカーのデザインとコンサルティングを多数手がける。デザインの領域は、腕時計や携帯電話などの小型情報機器からコンピュータとその関連機器、家電、生活雑貨用品、家具、インテリアなど幅広い。人間とものとを五感によって結びつける彼の仕事は、より大きな喜びを使い手に届けるものとして高く評価されている。2010〜2014年グッドデザイン賞審査委員長。多摩美術大学教授。日本民藝館館長。