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「野生展:飼いならされない感覚と思考」
開催概要

contents

展示構成

野生への入り口

「野生的なものは繊細で、緻密で、優美。あらゆる生命の中に、その優美で高貴なものが埋め込まれている。野生的なものはエレガントである」と本展ディレクターの中沢新一は考えます。こうした野生を、私たちは自身の感覚や思考にどう取り戻すことができるでしょうか。縄文時代からの古さを持つと言われ、野生的な神のかたちとして信仰の対象となった「丸石」を例に、野生への入り口を体感する展示から、本展は始まります。

遠山孝之「丸石神」

脳の中の森 - 南方熊楠の発見方法

人間の心(脳)に野生状態を取り戻すことで新しい科学的方法を生み出そうとしたのが、明治時代の博物学者、南方熊楠でした。熊楠は、ありとあらゆる事物がつながりあい響きあっている世界の真実をとらえるには、人間の心(脳)の働きをひらいていかなければならないと考えていました。熊楠が発見し書き起こした研究資料や、現代の作家の作品を通して世界の見方を垣間みながら、野生的な感覚と知性にもとづく「世界の探求方法」に触れていきます。

大森克己「野生」
青木美歌「Between You and I」、「あなたに続く森」
aircord「Finding Perceptions」

「かわいい」の考古学:野生の化身たち

古くは1万6000年前に遡るとされる縄文土器から今日まで、人間はさまざまなかたちで「野生の依り代」を生み出してきました。心の内からわきあがる形は信仰の対象に留まることなく、道具や娯楽の対象としても広がりを見せてきたのです。ここでは私たちの身近に存在してきた野生の化身を紹介します。それは「かわいい」化身です。日本人は縄文の時代から、自然と人間の中間にいる存在たちを「かわいい」造形にする特異な才能を持っていました。その能力はいまも衰えていません。

野(の)をひらく鍵

芸術における研究やインスピレーションのフィールドを「野」ととらえ、独自の発見を活かし、感覚や思考とともに「野」をひらいている作家たちの作品を、複数の視点から紹介します。古来、地形にイマジネーションをかきたてられた人間が意味を見出してきた「大地」。まさに身近な野生の存在であり、その生態に近づき模すことで、人が生命の宇宙につながっていくことのできる「動植物」。集合的な無意識の現われともいえる「夢・神話」。これらを軸に野をひらく鍵の数々に出会ってください。

ステファニー・クエール「Old Boar and Orangutan」
立花文穂「変体、変々体々。」、「KATAKOTO(エ)」、「KATAKOTO(ツ)」
田島征三(絵本作家、美術家)「獣の遠吠え」
鈴木康広「始まりの庭:水の切り株、土の切り株」
エルンスト・ガンペール「139/08//200」、「85/2008//250」、「51/2005//230」
渡邊拓也「道具と作ることのインスタレーション -case1-」
井上嗣也「LANDSCAPE_01」、「LANDSCAPE_02」、「LANDSCAPE_03」
西村裕介「ボゼ」、「勢理客の獅子舞」、「糸崎の仏舞」、「パーントゥ」、「御霊神社の面掛行列の阿亀」(デザイン:井上嗣也)、「石見神楽の大蛇」、「御霊神社の面掛行列」、「糸崎の仏舞と石見神楽・疫神」
黒田征太郎「無題」
しりあがり寿「野生の現出」

サンクンコート横には、中沢新一の著書をはじめ、本展に関連する書籍、資料を集めたライブラリーコーナーが登場します。