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企画展「クリストとジャンヌ=クロード "包まれた凱旋門"」

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ディレクター

クリストが描いたドローイング作品に始まり、ついにパリで実現した「包まれた凱旋門」。世界的に有名なモニュメントが布とロープで包まれ、多くの来場者の関心を集めました。それは、「親愛なる」クリストとジャンヌ=クロードという二人のアーティストとその作品に対する人々からの愛情と尊敬の念を物語っています。

何年にもわたり、二人のカリスマ性と創造性により多くのサポーターが集まり、ファンが協力者となりながら、一時的で壮大なプロジェクトの完成を支えました。その多くが友情関係で結ばれ、それぞれの熟練の技を持ち寄り、さらに洗練された創作活動のために力を発揮しました。例えば、写真家のウルフガング・フォルツは今回展示されている写真の多くを撮影していますが、50年前という非常に早い時期から二人の活動と作品を撮影し続けているのです。そうした人々の集まりが強い絆で結ばれた「ワーキング・ファミリー」となり、プロジェクトは都市や自然、水面や砂漠、燃えるような太陽や雪の中へと広がってゆきました。

華々しい実績やそのスケール、人々の歓喜は、この二人のアーティストからの贈り物であるといえます。高い目標を掲げ、それを達成する忍耐力と才能を垣間見ることで、私たちはそこから学ぶことができるのです。

この展覧会は、クリストとジャンヌ=クロードが出会い、二人が1960年代にアヴァンギャルドなアーティストになったパリから始まります。1962年には、パリでの最初のプロジェクト、ヴィスコンティ通りの「ドラム缶の壁=鉄のカーテン」を実現しました。その後、活動の拠点をニューヨークに移しましたが、1985年には再びパリで「包まれたポン・ヌフ」という大規模なプロジェクトを完成させます。「包まれた凱旋門」の実現は、二人のこれまでの創作活動がもたらした集大成のひとつだと言えるでしょう。

クリストとジャンヌ=クロードの凱旋門のプロジェクトの構想は、1961年まで遡ります。その華々しい場所には、あの有名なシャンゼリゼ大通りをはじめとする12本もの主要なアヴェニューが集結しています。60年の年月を経て彼らの構想はここに結実したのです。

長いプロセスの中には準備、設置、そして展示という3つのステップがありました。

パリで最も賑やかな環状交差点の中心にある、この象徴的なモニュメントを16日間にわたって包むために、エンジニア、行政関係者、施工業者、製造メーカーなどあらゆる専門家が密に連携をとりながら、二人の理想に向けての解決策を提案してゆきます。

当初2020年に予定されていましたが、クリストの甥であるヴラディミール・ヤヴァチェフに率いられた、クリストとジャンヌ=クロードの「親愛なるチーム」によって、ついに2021年に「包まれた凱旋門」は完成しました。

この展覧会は、彼らの素晴らしいプロジェクトとそれに対するパリからの愛情を示すものなのです。

パスカル・ルラン

パスカル・ルラン Pascal Roulin

映像ディレクター、デザイナー、プロデューサー。
ベルギー生まれ。19歳からパリとカナダで長編映画の制作を始める。1977年にパリに移り、1996年から映像制作会社pHstudio(東京)のアソシエイトとして制作活動を続ける。2002年から東京在住。
実写、CG、アニメーションといった手法で、TVコマーシャル、ミュージックビデオ、オペラ、モーションライド、現代アート、建築、博覧会、童話、科学などの分野で数多くの作品を制作。
1998年から現在まで、三宅デザイン事務所との協働により、映像、展覧会、商品、書籍、ロゴのデザインを手がける。21_21 DESIGN SIGHTの企画展では、「200∞年 目玉商品」展(2008年)、「REALITY LAB–再生・再創造」展(2010年)、「アーヴィング・ペンと三宅一生 Visual Dialogue」展(2011年)等に参加。
リンツのアルス・エレクトロニカでゴールデン・ニカ賞を受賞(1993年)。その他、プラネタリウム作品(日本科学未来館)、IMAX作品(セビリア万博、フランスパビリオン、1992年)、トロントのIMAX Space Teamとのコラボレーション、アニメシリーズのコンセプトデザイン(日本/米国、2019–2021年)、彫刻作品集の共同監修などを手がける。