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2015年1月 (5)

現在好評開催中の「活動のデザイン展」より、展示作品の一部を映像で紹介します。実際の作品を、21_21 DESIGN SIGHTでぜひお楽しみください。

アトリエ ホコ「フィックスパーツ」


企画展「活動のデザイン展」会場風景/撮影:吉村昌也

「修復と改良」を奨励し、人々の身の周りの問題を解決していく「フィックスパーツ」プロジェクト。会場では、国内外6組による新作を実物と映像でご紹介しています。

牛込陽介 「プロフェッショナル・シェアリング:シェアの達人」

Professional Sharing from Yosuke Ushigome on Vimeo.


企画展「活動のデザイン展」会場風景/撮影:吉村昌也

シェアリング・エコノミー(共有型経済)の発展により、個人のあらゆるリソースを売買できる世界を想定し、「シェア」を生業とするプロ・シェアラーの姿を通して、今日喧伝されている「シェア」の概念に問いを発します。

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2015年1月17日、「活動のデザイン展」参加作家、ホンマタカシとマイク・エーブルソンに、グラフィックデザイナーの長嶋りかこを加え、トーク「『視点の転換』のたのしさ」を開催しました。

はじめに各々が自らの活動について紹介しました。
ホンマの本展展示作品「カメラ・オブスキュラ・スタディ ― 青山→六本木、建築で建築を撮る」は、自身が近年続けている「カメラ・オブスキュラ」に対するリサーチの一環でもあります。部屋全体をカメラ化し、そこから覗く風景に映る偶然性をも作品化します。出展作品を含め、その制作プロセスを語りました。

続いて、マイクは人間の手が身体と道具を一体化にさせることについて、テニスラケットを例に挙げつつ、本展展示作品「考える手」は道具と身体の可能性をはかるリサーチが基になっていると述べました。また、日常の視点を変えてみることに対し、車輪の跡から着想を得たノートの制作について語りました。
長嶋は、近年の服づくりを紹介し、ひとから与えられたものを着るのではなく、着る側が様々な解釈をもてるような服を、従来の既製品のサイクルでなく、ひとの気分のサイクルにのれるような服づくりを心がけていると述べました。

後半は、3人が互いに質疑応答する形式となり、ホンマは「リサーチを進めていくうちに自然と表現となる」と話すと、一方で長嶋は「ものが生まれる理由の必然性があるものが良いデザインである」と述べ、主観から離れてものの本質に向き合うこと、さらにはその中で生じる偶発的な出来事も取り込むことが「視点の転換」に繋がるのではないかと示唆に富んだ内容となりました。

2015年1月12日、建築家で「活動のデザイン展」参加作家でもある長坂 常と大西麻貴+百田有希/o + hによるトーク「建築家の視点と『活動のデザイン』」を開催しました。

本展で、修理・修繕することで誰かの課題を解決する「フィックスパーツ」に参加した長坂は、このプロジェクトでは、まず「建築家として自分のカラーを主張することを求められているのではない」自分の立ち位置について考えたと話し、他人の課題との出会いから、展示している「ムーヴァブル・シェルフ」ができるまでの過程を解説しました。

続いて、大西麻貴+百田有希/o + hも、それ自体が鑑賞されるというよりも、会場に置かれた他作品の見え方を変える仕掛けとして、作品で会場構成に関わる意図で「望遠鏡のおばけ」「長い望遠鏡」をつくり始めたという話から、今回の作品につながるこれまでのプロジェクトや制作の様子を、写真やスケッチを紹介しながら説明しました。

対談はこの日が初めてという長坂とo + hの二人がそれぞれの仕事場を紹介しながら、どちらも元々ガレージがあった場所を、通りや街に開いた空間として使っているという共通点で話が盛り上がりました。長坂が「色々なノイズがある中で、どう社会と接していくかというところに可能性を感じる」と語ると、o + hの二人も「街と繋がり、その関係を続けていく」「外と内が続く場所で、問題に出会うことが解決の第一歩」と応じ、予め結論を決めてしまうのではなく、そのつど関係性のなかで前向きに互いの距離を探りながら課題を解決していくことの重要性など、ものづくりに対する姿勢にも両者の共通点が見えるトークとなりました。

2014年12月、桑沢デザイン研究所 デザイン専攻科 ビジュアルデザインコース授業「制作の現場」(担当:川畑明日佳先生)の川上典李子による特別校外講義として、同コースの学生約70名が来館し、「活動のデザイン展」会場内で授業が行われました。

「活動のデザイン展」ディレクターの一人である川上による150分の授業では、前半は実際の展覧会場にて、企画背景や作品制作の経緯などと合わせて各作品のコンセプトが紹介され、後半は閉館後の会場に椅子を並べ、展覧会制作背景について、具体的なアイディア出しの様子や、どのように展示作品を決定したかなど、裏話を交えながらその大変さとおもしろさについての講義になりました。

川上は、この展覧会で展示している作品は、世界中で起こっているさまざまな活動のほんの一部に過ぎないが、来館者の方が、きっかけを見つけて各々が話題にしたり、さらに考え、行動してくれることが大切だと語りました。 また展示作品の一つ一つを深く読み込んでいくことで見える社会の動きは、私たちの政治、経済を考えることにもつながります。身近なことに目を向けること、また未来の社会に目を向けることにも、デザインの力は深く関わっているという川上のコメントに対し、桑沢デザイン研究所の川畑先生は「デザインの力を、世界をよくするために活かしてほしい」と、卒業を控える学生に向けての強いメッセージで講義を締めくくりました。

現在開催中の企画展「活動のデザイン展」。本展ディレクターや多彩なプロジェクトを展開する参加作家から、本展へ寄せられたメッセージを通じて、展覧会やそれぞれの活動により深く触れてみてください。

Q. 展示作品について説明してください。
A. 今日爆発的に流行しているシェアリング・エコノミー(共有型経済)と呼ばれるサービス群が私達の生活の隅々にまで入り込んだ世界を想像している作品です。

Q. 本展のサブタイトルは「Hints of the future in a shifting world/変容する世界の未来のためのヒント」です。あなたはそれらのヒントを、どこから得ていますか?
A.

ヒントを得るために特に決まったルーティンを持っているわけではありません。むしろ、先人達の作品、ニュース、Twitter、Wikipedia、会って話をする友人たちなど、見たもの聞いたもの体験したものをなんでも関連させてみることで、変わり続ける世界を常に複眼的に捉えるようにしています。画像は木村恒久さんのフォトモンタージュです。現代的・人工的な都市と全く別のものを組み合わせることで示唆に富んだビジュアルを創りだす作品群は常にインスピレーションで在り続けています。

牛込陽介:
デザイナー、テクノロジスト、Superfluxアソシエイト。2013年 ロイヤル・カレッジ・オブ・アート デザイン・インタラクションズ卒業。テクノロジーや国際政治によって形づくられていく未来を、広い視野と確かな現実感をもって議論する場をつくるためにクリティカルデザインを実践している。プロジェクトは、未来のシナリオのビジュアライズから、インタラクティブシステムのデザイン/開発、コミッションアートの制作まで多岐にわたる。
www.yosukeushigo.me

>>「『活動のデザイン展』へのメッセージ」一覧を見る