Loading...

contents

2017年3月 (4)

ギャラリー3 外観

21_21 DESIGN SIGHTは2007年3月に開館しました。

開館の背景は、創立者である三宅一生が、1980年代、イサム・ノグチ、田中一光、倉俣史朗、安藤忠雄らとともに、日本におけるデザインミュージアムの重要性について語りあったときに遡ります。
その熱い想いはそのままに、生活を豊かに、思考や行動の可能性を拡げるデザインの役割を、探し、見出し、つくっていく拠点となりました。

ディレクターは、デザインの現状、制作の現場をよく知るデザイナーの三宅一生、佐藤 卓、深澤直人。アソシエイトディレクターはジャーナリストの川上典李子です。これまでに34の展覧会を開催し、デザインの視点から、生活、社会、文化について考え、世界に向けて発信し、提案を行なってきました。そして10周年を機に、佐藤 卓が館長に就任します。

2017年3月31日には、新たな活動拠点「ギャラリー3」を開設します。ここでは、世界各国の企業をはじめ、教育・研究・文化機関等との密な連携によって、実験的なプログラムに取り組んでいきます。誰もが自由にデザインに触れられるスペースが拡がります。

21_21 DESIGN SIGHTは、今日までの歩みを大切に、「デザインの視点でさらに先を見通す」活動を続けていきます。

21_21 DESIGN SIGHT opened in March 2007.

The story behind the opening of 21_21 DESIGN SIGHT goes back to the 1970s, when its Founder Issey Miyake started to discuss the importance of establishing a design museum in Japan with Isamu Noguchi, Ikko Tanaka, Shiro Kuramata, and Tadao Ando. 21_21 DESIGN SIGHT sprang from that discussion and became a nexus from which to search, find, and create the ongoing role of design. Design is a process that enriches life and expands the potential for thoughts and actions.

The Board of Directors is comprised of Issey Miyake, Taku Satoh, and Naoto Fukasawa, three designers who are well acquainted with the contemporary status of design and the creative scene; and journalist Noriko Kawakami who acts as Associate Director. 21_21 DESIGN SIGHT has introduced numerous ideas and proposed a variety of design solutions to the world through 34 exhibitions. Each exhibition opened a dialogue on our life, society and culture from design point of view. In honor of the 10th anniversary. Taku Satoh has been named as its overall Director.

On March 31, 2017, we will open Gallery 3. Here, we will implement experimental programs in close collaboration with corporations, schools and cultural institutions throughout the world. We wanted to expand our space so all could experience the power of design.

21_21 DESIGN SIGHT continues to evolve, treasuring the decade that is now behind it and always looking toward the future.

ギャラリー3 エントランス
ギャラリー3 内観
ギャラリー3 内観

写真:吉村昌也

2017年3月11日、企画展「アスリート展」に関連して、トーク「アスリートを見る視点」を開催しました。トークには、スポーツカメラマンの長浜耕樹、ゲッティイメジーズから中西 歩と、研究者/映像作家で本展ディレクターの一人である菅 俊一が登壇しました。

本展展示において、アスリートたちのダイナミズムをあらわすよう、参加作家アダム・プリティの作品をはじめ、いくつかの映像作品にはゲッティイメージズのソースが貢献しています。トーク冒頭では、中西がリサーチエディターとして2億点にものぼる写真から、クライアントの依頼に応じて選出するなど、ゲッティイメージズの活動の紹介がありました。

続いて、アダム・プリティとともに数々の現場に赴いた経験のある、フォトグラファーの長浜耕樹を中心に、スポーツの報道写真が如何に撮られているのかと話は移ります。対象をはっきりと捉えるべく、寝そべった状態で陸上競技者を撮るなど、「カメラマンはまず背景を意識して撮っている」と長浜は言います。そして、長浜は自身のキャリアにおいて印象深かった出来事に、なでしこジャパンが躍進する契機となった対北朝鮮戦をあげ、選手と観客ともに一体となり、場が熱狂で震えた様子を述べました。現場でのアスリートのたちの喜怒哀楽が撮れるよう意識しているという長浜。彼が如何にアスリートたちの決定的瞬間を捉えようとしているか、その熱意を語りました。

アスリートたちの、知られざるダイナミックな動きが写し出されたアダム・プリティの写真の数々。「撮る前に徹底的に現場リサーチを行なう」(中西)というプリティは、時間帯、場所を抑え、予めアスリートの動作を計算することで構図に落とし込みます。「どこに眼を置くか」によって、アスリートや競技に対する鑑賞者の印象も変化すると、菅は続きました。スポーツカメラマンたちがアスリートのさまざまな側面を切り取るように、本展もデザインの視点で、アスリートの多様な世界を捉えています。本トークは、アスリートを取り巻く世界の広がりを改めて感じられる内容となりました。

21_21 DESIGN SIGHTでは、館内スタッフのユニフォームを一新しました。2月17日より開催中の企画展「アスリート展」では、新しいユニフォームで、みなさまをお迎えします。


「アスリート展」内覧会にて(Photo: Yasuaki Yoshinaga)

「アスリート展」内覧会にて

2017年2月25日、オープニングトーク「アスリートの哲学」を開催しました。
トークには、本展ディレクターの為末 大、緒方寿人、菅 俊一が登壇しました。

トークは本展の見どころや作品概要について語られました。
展示構成について緒方の解説を交えながら、トークは進行します。まず、「驚異の部屋」では、為末も室内で見る迫力とスピードに驚いたと感想を述べます。見る場所や見る角度によっても印象が全く異なると菅は続けます。「アスリートの体型特性」では古代ギリシア時代は完璧な人間像を求めていたため、各競技の体型がほとんど同じだったと為末は語ります。そして各競技に適した体型に細分化されたと続けます。現役時代の体験を踏まえた為末ならではのエピソードを織り交ぜながらアスリートの体型特性について語りました。

「アナロジーラーニング」について、ハードル走では「サーカスの火の輪をくぐるように」という例えを用いると為末は語ります。このアナロジーラーニングでは、その選手がいままでの人生で経験をしてきた体験からしか比喩を用いることができないので、コーチングでは文化的背景を理解することや想像力が必要だと述べました。

「アスリートと新聞」の作品から、メディアとアスリートの関係性について「人気スポーツだからメディアになる。メディアになるから人気スポーツになる」と述べる為末。アスリートと聞くと、体育会系で閉ざされたイメージが強いですが、日常の延長線上にアスリートがいることを伝えたいと述べました。
菅は価値を変える、転換させることがデザインの能力だと述べます。年齢という概念を超え、熟練することで価値を見出す職人にもアスリート性があるように、年齢を重ねることが楽しくなるような社会構造をつくることが今後の日本には必要になってくるのではないかと見解を述べます。

最後には、参加者からの質問に3人がそれぞれの視点で答え、社会問題、デザイン、技術などのさまざまな視点から意見が交換される会となりました。