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中沢新一 (2)
2018年1月13日、企画展「野生展:飼いならされない感覚と思考」に関連して、トーク「まるで野生」を開催しました。
トークには、本展ディレクターの中沢新一と、21_21 DESIGN SIGHTディレクターでプロダクトデザイナーの深澤直人が登壇しました。
冒頭で深澤は、「『野生』という言葉を以前から用いている中沢さんと一緒に、本展を読み解き、現代の様々な事象を『野生』という視点からどのようにみることができるのかを話したい」と、本トークの主旨を説明しました。
中沢、深澤はともに山梨県の出身です。まずは、本展のイントロダクションとして展示されている「丸石神」の多くが山梨県にあること、現地の縄文遺跡から丸石がたくさん出土されたことに触れました。こうした信仰が「アミニズム」、人間的でないものと人間とのコミュニケーションという視点でも説明できると二人は語ります。「岩が自然の現象で丸くなるのを、神による創作としたのではないか」と、深澤。
その後、「かたち」へと話は移ります。深澤は、本トークのために、大理石の産地として知られる台湾・花蓮にて採取した海辺の石たちを持参しました。この自然のかたちに触れつつ、ものづくりは人間の行為であることを前提に、「自分のデザインが、自然の中から生まれたかのようにものづくりを行ないたい」と深澤が述べると、「深澤さんは、深澤直人という道具を用いて自然を造形しているのではないか」と中沢が応えました。
人類学者とデザイナー、二人の視点から、「野生とかたち」の関係を読み解き、野生をデザインに取り入れるヒントを探るトークとなりました。
2017年12月16日、企画展「野生展:飼いならされない感覚と思考」に関連して、フィールドワーク「野生さんぽ」を開催しました。
展覧会ディレクターの中沢新一と企画協力の山田泰巨の案内のもと、本イベントのために用意された「アースダイバーマップ」を片手に、六本木を散歩するイベントです。
アースダイバーマップとは、縄文海進期の地層図に、古墳の場所や現在の神社などを重ねて記した地図です。21_21 DESIGN SIGHTの位置する六本木・赤坂周辺は、都市開発が進んではいるものの、古来よりの場所も点在しています。そういった場所を巡り、タイムラインを体感することがこのフィールドワークの目的であると、はじめに中沢が説明しました。
参加者は、21_21 DESIGN SIGHTから街へと出発します。谷が多く、都市開発の対象となりにくかった六本木・赤坂は、戦後にアメリカ軍の統治の影響を強く受け、水商売や芸能の街として栄えたと中沢は言います。例えば、大通りを抜けると現れる飲み屋が立ち並ぶエリアは、元々農道であったため、坂道が錯綜するような構造となっていると説明しました。街が現在の姿に至るまでには様々な背景があることが実感されます。
朝日稲荷や氷川神社などを巡り、かつて古墳であったときの名残や過去の片鱗を見聞きすることで、人々の暮らしの変遷を辿っていきます。高層ビルが立ち並ぶ街のなかに、古のものが残っていることに驚き、感銘を受けます。
私たちが今立っている場所を、時空を超えて読み解くことで、普段と異なる視点で自らを取り巻く環境を楽しむ方法を提案した本イベント。都市における野生の発見方法を体感できる機会となりました。