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2022年6月 (2)

2022年6月13日、企画展「クリストとジャンヌ=クロード "包まれた凱旋門"」が開幕しました。

開幕日である6月13日は、クリストとジャンヌ=クロード二人の誕生日です。クリストは1935年6月13日、ブルガリアのガブロヴォで生まれ、ジャンヌ=クロードは同年同日にモロッコのカサブランカで、フランス人の両親の元に生まれました。
本展は二人のパリでの出会いに始まり、「包まれた凱旋門」の構想から実現までの長い道のりをさまざまな手法で展示します。

長い年月をかけ、さまざまな困難を乗り越えて実現へと向かう、ポジティブで力強い姿勢。また、そのような二人の強い思いの元に集まってきた仲間たちの存在があるからこそ、今までだれも見たことのない作品を生み続けることができるのです。
激動の時代のなかにあってもなお状況を切り拓き、喜びをもたらす創造の大きな力そのものに目を向けます。

会場風景(ロビー)
会場風景(ギャラリー1)
会場風景(ギャラリー2)
会場風景(ギャラリー2)
会場風景(ギャラリー2)
会場風景(ギャラリー2)

撮影:吉村昌也/Photo: Masaya Yoshimura

6月13日から始まる企画展「クリストとジャンヌ=クロード "包まれた凱旋門"」。これに関連して5月11日、柳 正彦と青野尚子による21_21 クロストーク vol.3「二人が見た『包まれた凱旋門』」が開催されました。

21_21 DESIGN SIGHTでクリストとジャンヌ=クロードにフォーカスした展示をするのはこれが3回目になります。2010年の「クリストとジャンヌ=クロード LIFE=WORKS=PROJECTS」の展覧会ディレクターを務めた柳 正彦はクリストとジャンヌ=クロードと長年にわたって協働してきました。オンライントークでは柳に、クリストとジャンヌ=クロードを中心としたグループ展「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」(2017年)の展覧会ディレクターを務め、柳とともに実際にパリで凱旋門プロジェクトを体験した青野尚子が聞きました。
(文:青野尚子)

「L'Arc de Triomphe, Wrapped, Paris, 1961–2021(包まれた凱旋門)」が実施されたのは2021年9月18日〜10月3日の16日間。もともとは2020年春に予定されていましたが、春は希少な鳥が凱旋門に巣を作ること、またコロナ禍もあって延期されました。実施期間中はコロナによる移動制限もあり、海外でクリストとジャンヌ=クロードとコラボレーションしてきた柳も不安が多かったと言います。

「クリストとジャンヌ=クロードは『作っているプロセスも作品の一部。苦労が大きいほど、喜びも大きい』と言っていました。今回は行くまでのプロセスが大変だった分、それを乗り越えて間近に見た『包まれた凱旋門』には特別の感慨がありました」(柳)

実際に現地で見た「包まれた凱旋門」はどのような様子だったのでしょうか。

「僕は凱旋門が見えるところにホテルをとったので好きな時に見られたのですが、とりわけ日の出と日没時の眺めは素晴らしいものでした。太陽の光が強くなったり弱くなるのにあわせて凱旋門を包んだ布がピンク色や金色に輝くんです。週末にアーチ上部から掲げられる巨大なフランス国旗が風にはためくのもよかった」(柳)

1995年6月、「包まれたライヒスターク」でのクリストと柳 正彦

前述したように21_21 DESIGN SIGHTでクリストとジャンヌ=クロードにフォーカスするのは今回で3度目。また「包まれた凱旋門」についてのドキュメントがまとまって展示されるのは世界でも初めての機会になります。その背景には、三宅一生とクリストとジャンヌ=クロードたちの長年の交流がありました。

「あるとき、日本で開かれたレセプションパーティーにジャンヌ=クロードがイッセイ ミヤケのドレスを着てきたんです。ジャンヌ=クロードが一生さんに『これはあなたのデザインしたドレスよ』と言ったのですが、一生さんは覚えがないという。よく見たらジャンヌ=クロードはドレスを上下逆に着ていたんです(笑)。そこで二人で人目に付かないところに行って、直してきたことがありました」と柳は懐かしそうに語ります。

21_21 DESIGN SIGHT企画展「クリストとジャンヌ=クロード "包まれた凱旋門"」では「包まれた凱旋⾨」の実現までの道のりをシネマティックに紹介します。布で包む凱旋門などのプロジェクトとはまた違う側面を見ることができます。クリストとジャンヌ=クロードはプロジェクトの現場でリアルな空気、音、日差しを感じてほしい、と語っていました。「包まれた凱旋門」を始めとするプロジェクトの『リアル』を想像しながら展示をお楽しみください。