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2010年10月 (3)

講師を務めたのは、参加作家の渡邊淳司と安藤英由樹、振付師でダンサーの川口ゆいと慶応義塾大学講師の坂倉杏介のチーム。本ワークショップのために開発した特別な機器を使って、自分の心臓の音をじっくり味わうワークショップです。聴診器と振動スピーカーが組み合わされた黒いキューブを手のひらに置くと、まるで自分の心臓が体から切り離されて、独立した存在になってしまったように感じます。この機器を使って、他の参加者の心臓音を感じてみたり、自己紹介をしてみたり。ワークショプ後半では、青空の下、ピクニック気分で、運動をしたり寝転がったり、お菓子を食べたりホラー絵本を読んだりしながらそれぞれの心臓の音の変化を体験し、普段味わうことの少ない自分の心臓への慈しみを感じるひと時になりました。ワークショップが終了し、機器の振動が止まっても、いつまでも愛おしそうにボックスを手放せない参加者たちでした。

真鍋大渡による一日体験展示は少人数によるワークショップの形で行われました。
まず研究者と一緒に行っているというプロジェクト概要を説明し、実際に筋電位センサーを貼る体験から始まります。少量とはいえ顔面に電流が流れ、勝手に頬が持ち上がったり、ウィンクをしてみたり。電流による強制的な表情操作に、参加者同士で「結構痛いかも」「ちくちくを越えるとよく動く」など、アドバイスし合いました。スタッフの見本や一通りのテストが終わると、いよいよ2人1組で本番です。こめかみや頬、目頭、顎など顔面16ヶ所にパッチを貼り、2分間の音楽に合わせてパフォーマンスを行いました。
パフォーマンスを行っている間、ものづくりに対する参加者からの質問に「考えてから、作るまでが長い、思いつくのが大変」だと、真鍋が答える場面も。参加者との近しい距離の中で、人とシンクロするメディアアートを作っていきたいと今後についても語りました。パフォーマンスを終えて席に戻る参加者には興奮の表情が浮かび、互いを戦友と認め合うような密なコミュニケーションが生まれた時間でした。

山中俊治と石黒 浩による特別対談は3部構成で行われました。まずはロボット開発の研究プロセスをモニターに映しながら、石黒のプレゼンテーションがスタート。娘をモデルとしたアンドロイドを作ったときに「不気味の谷」を意識したという石黒。無意識にでも「人間らしい」と感じるアンドロイドを目指していると語ります。自分そっくりのアンドロイドも開発した石黒は、披露後の周りの反応に「自分の癖は他人の方がよく知っている」ことを教えられたとか。
その後マイクは山中にバトンタッチ。山中が関わったプロジェクトや製品のエピソードを画像と共に紹介。昨年21_21 DESIGN SIGHT「骨」展に出展したからくり人形の製作についても語りました。「似せる」ことではなく機能にも重点を置いた山中の仕事と、前半の石黒のプレゼンテーションとの対比は、デザイナーとサイエンティストの違いと共通点を感じさせるものでした。
最後は2人がマイクを持ち、未来のものづくりについて語りました。活発に質問の手もあがる濃厚な時間となりました。