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「建築家 フランク・ゲーリー展 "I Have an Idea"」
フランク・ゲーリーのマニフェスト

2015年10月16日に開幕となる企画展「建築家 フランク・ゲーリー展 "I Have an Idea"」。

「君たち、オレのマニフェストを知ってるか」はじめて面会したゲーリー氏は最初にそう言い出しました。
ゲーリーは一夜の思いつきや、ちっぽけな発想、一瞬の閃きによって建築をつくりません。大量の模型をつくっては壊し、壊してはつくり上げる輝かしいプロジェクトの数々。
アイデアを信じるゲーリーの本音のマニフェストを聞いたとき、 この展覧会のコンセプトは決まりました。」(展覧会ディレクター 田根 剛のメッセージより)

ウォルト・ディズニー・コンサートホール竣工の際に発表されたマニフェスト(2003年)を、再びゲーリー自身が読み上げる様子を本展のために撮りおろしました。真面目な表情で読み上げられる本音のマニフェストには、ひとりの建築家が闘ってきた道のりを垣間みることができます。

編集:LUFTZUG

フランク・ゲーリーのマニフェスト

まずアイデアが浮かぶ。しょうもないけど気に入る。模型をつくって嫌いになるまで見続けて、それから違う模型をつくることで、最初のしょうもないアイデアを別の見方でみる。するとまた気に入る。でもその気持ちは続かない。部分的に大嫌いになって、再び違う模型をつくってみると、全然違うけど気に入る。眺めているうちに、すぐに嫌いになる。直しているうちに新しいアイデアが浮かんで、そっちの方が気に入るけど、また嫌いになる。でもまんざらでもない。
どうするか? そう、また模型をつくって、次から次へとつくる。模型を保管するだけでも膨大な費用がかかる。でもどんどん続ける。次から次へと進めるうちに、ほら見ろ、最高傑作だ。
輝かしく、安上がりで、今までに見たことがないものだ。だから誰も気に入らない。

悔しくて死にたくなる。ところが、神様がメッセンジャーを送り込んで皆に催眠術をかけるので、皆気に入る。そしてアイデアを盗もうとする。模型も盗んで行こうとする。頭脳や魂まで持って行こうとする。でも踏ん張って、絶対にくれてやらない。
やりたいのは、新しいアイデアを生むことだけ。たった一人で新しい模型をつくり続けたい。保管するのに膨大な金がかかるので、こんなことをしていると模型の倉庫代で破産する。
これは偉大な歴史。伝説でもあり本当のことなんだ。
この続きがどうなるかと言えば、皆が嫉妬し始める。嫉妬が彼らに努力するよう仕向けるならばいいけれど、大半は壊すためにがんばる。そこんとこが厄介。