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「WE MAKE CARPETS, the making of -雑貨からカーペットへ-」を開催

2016年3月 3日 15:00トーク,雑貨展

2016年2月28日、オランダから本展のために来日した参加作家「WE MAKE CARPETS」によるトークイベントを開催しました。これまでにも世界各地でその土地の文化を汲み取りながら、生活を取り巻く様々な日用品を用いて作品を制作してきたWE MAKE CARPETS。本展開催にあわせて約3週間日本に滞在し、日本の雑貨で美しいカーペットを完成させた今回のプロジェクトについて、普段は明かさないという舞台裏を語りました。

「雑貨展」の会場で一際目を引くカラフルな作品『Hook Carpet』。その美しい模様にじっと目を凝らすと、カーペットをかたちづくるパーツのひとつひとつがS字フックであることに気がつきます。サンクンコートに並べられるカラフルなフックの総数は、なんと8千個。ストローや絆創膏、洗濯バサミからパスタまで、様々な日用品を使ってカーペットを制作し続けてきた彼らは、今回S字フックを材料として選んだ理由として、屋外展示に強いプラスチック製であることや、大量生産による安価な値段など、展示に必要な条件が合致することに加え、カーブを描くかたちの美しさを挙げました。


Photo: 大谷宗平/Nacasa&Partners, Inc.

カーペットの材料がフックに決まると、展示場所の面積をもとに必要となる個数を割り出して、取寄せ作業に移っていきます。今回のプロジェクトでは制作時間が限られていたために一括購入はできず、都内の100円ショップ20店舗から2日間で8千個のフックを掻き集めることとなりました。そこで役立ったというのが商品についているバーコード。在庫情報が瞬時に分かるこの数字列に彼らは、生活を取り巻くモノの流通について深く考えさせられたと話します。店舗から8千個のフックを集められたということは、それだけの数が社会に流通しているということ。今回のプロジェクトが彼らにとっても驚きの連続であったことを強調しました。

大量のフックが集まるといよいよカーペットの制作が開始。サンクンコートを大きなキャンバスに、フックで模様を描き出していきます。興味深いのは、彼らが制作のために図面等を一切用意しないということ。3人で協力しながら手探りで組み立てます。大事にしていると話すのが「Intuition(直感)」と「Symmetry(対称)」という2つのキーワード。浮かんだアイデアを互いに共有し、全員が納得できたら細部をコピーし合い、カーペットづくりのために編み出した共通言語や、スマートフォンのカメラ機能を上手く利用しながら、カーペットを左右上下対称に拡張していくことを説明しました。

私たちの多くは普段、大量生産され、流通している日用品を定められた用途に沿って使います。しかしながらWE MAKE CARPETSは、S字フックに「掛ける」という機能以外の側面を見出しました。誰も注意を向けることのない機能重視の雑貨が「アートワーク」に変わる瞬間です。どれくらいの人数で、どれくらいの時間をかけて、どうやってつくり上げたのか、WE MAKE CARPETSの3人は、「雑貨展」の来場者に、想像しながらカーペットを見てほしいと話します。『Hook Carpet』を通して、私たちを取り巻く「雑貨」に思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。