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2025年12月18日(木)、企画展「デザインの先生」に関連して、トーク「デザインの先生」を開催しました。 本展の企画発案者である深澤直人と、展覧会ディレクターの川上典李子、田代かおるの3名が登壇し、6名の「先生」について語り合いました。
左から、田代、深澤、川上。
冒頭に、深澤が本展の企画に至った経緯を紹介しました。本展で紹介する6名の先生は、いずれも深澤が「真のデザイナー」だと捉えてきた人々です。深澤は、現代の若い世代が彼らの名前を知っていたとしても、彼らの作品と出会う機会が少ないため、「先生」として意識することがないのではないかと感じていました。そうした状況への危惧から、最終的に深澤自身が「先生」だと感じてきた人々に焦点を当てて紹介する展覧会が構想されました。本展は、深澤自身の強い熱意を原動力としてスタートしたのです。

その経緯を踏まえ、展覧会をディレクションした川上と田代から、展覧会の制作の過程や、本展の構成に込めた想いが語られました。
田代は、企画初期には6名の間に明確な共通点が見えにくかったことに触れつつ、打ち合わせやリサーチを重ねる中で、彼らがいずれも社会に対して強いメッセージを持っていたことが浮かび上がってきたと振り返ります。また、アルプス山脈を挟んだイタリアと、ドイツ・スイスの間に見られるデザイン上の哲学的な違いが、彼らの姿勢から表れてきた点が興味深かったと述べました。個性の強い6名を個別に見るだけでなく、初めて統合的に捉え、俯瞰できたことも大きな発見だったといいます。
川上は、6名が第二次世界大戦後の激動の時代に文化を築いてきたという点で、時代的な共通項があると加えました。一部に直接的なつながりはあるものの、同じ潮流に属していたわけではないからこそ、取り組みがいのあるテーマだったと語ります。
また、日本では1980年代以降のデザインが語られることが多い中で、それ以前の時代のデザインを牽引した人々の哲学を知ることの重要性を改めて感じたと話しました。
トーク中盤以降は、川上と田代がリサーチを通じて得た視点を共有し、深澤は自身の個人的なエピソードも交えながら、6名それぞれの魅力について意見を交わしました。 マーリやラムスとの思い出を振り返りながら、深澤は、彼らの生き方を学ぶことで自分自身の進む道もより明確になっていったと語り、「人生の先生」とも呼べる存在であると述べました。
リサーチを通して見えてきた共通の軸として挙げられたのは、彼らが統合的・包括的な活動を行っていたこと、そして戦後間もない時代に、人や社会の幸せを考えたデザインに取り組んでいた点でした。
後半には質疑応答の時間が設けられました。17歳の高校生から、「先生たちについて学んだうえで、これから未来をデザインしていくために、何を考えていけばよいでしょうか」という質問が寄せられました。 これに対し深澤は、「Curiosity(好奇心)」と答え、興味にとどまらず、あらゆることに好奇心を持つ姿勢の大切さを強調しました。人や社会とのつながりを感じ取るための感覚を磨き、自分自身が納得できる方法を考え抜くことが重要だと語ります。
その言葉は、自ら考え、主体的に行動することを期待してきた「デザインの先生」たちの姿勢とも重なるものでした。
トークの締めくくりに、深澤は「何度でも会場に足を運んでほしい」と来場者に呼びかけ、イベントは終了しました。

