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「アーヴィング・ペンと私」 vol.6 操上和美

9月16日から開催中の「アーヴィング・ペンと三宅一生 Visual Dialogue」展にあわせ、各界をリードするクリエーターの方々に、ペンの写真の魅力について語っていただきます。


「生」の瞬間が伝わってくる写真


──アーヴィング・ペンさんの写真についての印象をお聞かせください。

操上和美(以下、操上):
ペンの写真からは、「人間の存在」が伝わってくる。生きていること、その瞬間、その場に存在していること、そういう生きていく上での根源的なことが写真の中にあって、私たちにインパクトを与える。ジャンルは関係ありません。展覧会では、ファッションやポートレート、腐食に向かうものなども並んでいましたが、すべてに対して同じ愛情を持って接している。同じ目線、アーヴィング・ペンの目線なんですね。これは誰もができることじゃない、真似できないことだと思います。

自分が気になるものを撮り続ける時に、それが道端に落ちているものであれ、自分の生理というか好き嫌いや触感を大切に、カメラというマシンを使いながら、自分の感覚で掴んでいく。それを繰り返して生きている人間が写真家だと思います。人間の面白さは、その人が生きてきた時間。ハードに生きていればその分だけひだが多い。

──ペンさんは偉大な写真家ですが、今回の展覧会で紹介されている写真は三宅一生さんの服がなければ生まれなかった作品です。三宅さんについての印象を聞かせてください。

操上:僕が最初に一生さんに会ったのは、一枚の布でどう展開するか、マチエールにこだわってパリで服作りをしていた時代。一生さんの服から感じるのは、かたちに対する精神であり哲学だと思うんです。常に変化するかたちからは、ものをつくることへのロマンを感じます。

──操上さんはペンさんからも影響を受けているとお聞きしましたが、他に影響を受けている写真家はどなたですか? 写真を勉強する方におすすめの写真家がいたら教えてください。

操上:ペンの写真は本当に毎日見ていても飽きないから好きですし、そういう写真が撮れたらと思っています。また、写真も大好きですが生き方が好きな作家としては、ロバート・フランクです。写真を学ぶ方は、とにかくたくさんの写真家の写真を見た方がいいと思うし、自分でもたくさん撮ったほうがいい。ラルティーグの写真なんか見ると、決して普通に生活していたのでは遭遇できない「生き方」が見られたりする。

人間って変化する生き物だから、絶えず情報にはさらされているし、他の人からの影響も受ける、僕だっていつもブレています(笑)。だけど、自分が見て触って感じる生理的なもの、それを信じて「いい」と思ったことを貫く。それは自分を信じるということで、それがなければ作品は作れないと思う。もちろん、ペンも確固たるものを持っていた人だと思うし、自分も肉体・精神ともに健やかであるよう務めています。死ぬまでシャッターを切り続けるつもりですから(笑)。

──今後の活動予定を教えてください。

タカ・イシイギャラリーで10月29日から個展が開催されます。『陽と骨Ⅱ』と題して、1972年から2011年までポラロイドSX-70で撮りためた作品を発表します。展覧会では、作品集『陽と骨Ⅱ』に収録しているポラロイド作品8点と、それを180×180に引き伸ばした大きなプリント作品を展示します。

(聞き手:上條桂子)

2011年9月23日に21_21 DESIGN SIGHTで開催された展覧会関連プログラムに操上和美が出演しました。
トークの様子は動画でお楽しみいただけます。
トーク「 操上和美さんに聞いてみたかった」の動画を見る



Kazumi Kurigami

操上和美 Kazumi Kurigami

写真家
1936年 北海道富良野生まれ。
主な写真集に『ALTERNATES』『泳ぐ人』『陽と骨』『KAZUMI KURIGAMI PHOTOGRAPHS-CRUSH』『POSSESSION 首藤康之』『NORTHERN』『Diary 1970-2005』他。
2008年 映画『ゼラチンシルバーLOVE』 監督作品 。
ほぼ季刊で発行予定の写真誌、『CAMEL』を発刊。
http://www.kurigami.net/

「陽と骨II」 1989年 / 2011年

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